“業界誌に出ない美容師”bloc山本洋史さんに訊く、サロンワーク以外の仕事の取捨選択
巷で「業界誌NG」との噂もあるほど、美容業界誌への露出が滅多にないことで有名なblocオーナー山本洋史さん。それだけに、山本さんの美容論を聞ける機会はほとんどなく、同業者から“謎多き美容師”と思われていたりいなかったり…。そんな山本さんが7月に写真集を発売するということで、その制作話や最近の活動、美容業界へのアンチテーゼまで、山本洋史の美容観をざっくばらんに語っていただきました!
「blocってこうだよね」っていう“色”が付いちゃうのってつまらない
-7月に写真集「HAIR」を発売されるそうですが、どんなきっかけで出版に至ったのでしょうか?
去年、仲のいいディレクションをしている友人と『ポラロイドが無くなる』って話になって、その延長線上でポラでなんか撮りたいねって話をしてたんです。で、うちのサロンがちょうど15年目の節目で、そしたら、ずっとお客さまできてもらっていた中島美嘉ちゃんもデビュー15周年目で。じゃあ、いいきっかけだからなんか形にしたいねってことに。blocにきてくださっているいろんな人たちと、ちょうどタイミングが合ったんですよね。
-写真集は、いわゆる“カット教本”ではないそうで。どんな内容なのでしょうか?
一言でいえば、blocの集大成。いい節目だし、サロンで作っているスタイルを1回まとめてみようということで作成しました。美容師に向けて作ったわけじゃないので、カットプロセスなどの解説は一切ありません。ファッションという括りにしてしまうとおこがましいですが、ファッション寄りのビジュアルに仕上がっています。写真は全部ポラロイドやフィルムで撮影して、表紙は中島美嘉ちゃんが飾ってくれました。中のページに登場しているモデルは、プライベートの友人やお客さま、プロのモデルさんから素人さんまでさまざま。自社出版なので、製作も費用も全部うち。だからいろいろと大変でしたが…(笑)。
-そこまでして、写真集を出そうと思った理由は?
ヘアを作る人って、自分がメインにはならない。あくまでも、相手あっての仕事で、相手の世界観があってそこに参加するものだと思っています。そうすると、サロンから打ち出すヘアスタイルのパターン数を見せていかないと、blocってこうだよねっていう“色”がついちゃう。それって怖いし、つまらないじゃないですか。
サロンって本来、おじいちゃんもおばあちゃんも、ハイファッションの子やハイストリートの子も誰でもこられる場所なんだけど、一個人としては“今こんなことしてみたい”っていうのもあって、それを発信しようと思えばできるわけです。なんていうか、同じテイストの子・似たような髪型ばっかくるサロンっていうイメージになりたくないし、でもシンプルなヘアを切れないって思われるのもイヤだし…。発信したいことの数や枠がきちんと表に出せているか、と考えたときに、写真集という形で可視化させることに意味があると思うんです。