びよう道 vol.24  UMiTOS 砂原由弥さん 〜メディアの感性にはたった一つの正解がある。なんとなくの「ニュアンス」じゃ伝わらない。〜

 

美容室でも待遇や休日が大切と言われる時代。もちろんそれもいいですが、美容人生のどこかで“心も体も美容でいっぱい”という時期があってもよいかもしれません。

 

「びよう道(みち)」は、そんな地道で壮大な鍛錬の道を歩んできた“美容の哲人”に、修業時代に一人前になったと思った瞬間や美容の哲学など、それぞれの美容の道を語っていただく連載企画です。

 

第24回目は、UMiTOS 砂原由弥(すなはらよしみ)さん。「生涯顧客」を多数抱える美容師であり、オダギリジョーさんや多部未華子さん、宮崎あおいさんが全幅の信頼をよせるヘアメイクアップアーティスト。手がけたタレントが次々と飛躍することから、「ブレイク請負人」としても知られています。人を輝かせるヘアスタイルはどのようにして生まれるのか。これを読めばそのヒントの一端をつかめるかもしれません。

 


 

お金より大事なものがあるからこそ、稼ぐ経験が必要だった

 

 

千葉県の南房総市にある「海と砂原美容室」は、母が40年営んできた美容室を私が継ぐかたちでオープンしました。美容師である母から学んだのは「お金よりも大事なこと」。美容室経営はビジネスだからボランティアではないけど、お金ではかることはできない愛を注ぐ様子を見て育ちました。

 

お金が一番じゃないことを知っているからこそ、私には若いうちに月500万円、600万円と売上をつくる経験が必要でした。ただ単純にお金より大事なものがあるというのと、お金を稼げるけれどお金よりも大事なものを知っているのとでは全然違うから。だから東京・青山のヘアサロンに入ったんです。

 

 

技術の飲み込みは誰よりも早かったと思います。リターン率も高かったから20代の中頃には毎月500万円以上の売上がありました。技術は一度習えば、自分のものにできたんです。技術のポイントが一方向から見てわからないなら、見る角度を変えてみる。習った技術をそのまま使うのではなく自分なりにチューニングをする。その繰り返しです。リターン率が高かったのは、私は人が大好きで、その人が輝くカットラインが見えちゃうから。理屈じゃないんですよね。

 

お客さまの中にメディア関係の人もいたので、オファーをいただいてヘアメイクの仕事をするようになりました。でも当時は、美容師がサロンワーク以外の仕事をすることが認められていない時代だったので、500万円の売上を維持しながらやっていたんですよ。ヘアメイクの売上は全額会社に入れて経費は自腹。20〜30kgくらいの重い道具を持ち歩けないからタクシーにも乗るし、ヘアメイクのアシスタントにお弁当の一つも買ってあげたいじゃないですか。だからヘアメイクの仕事が増えても、お金が出ていく一方でした。

 

 

>「メディアの感性には正解がある」 だから「なんとなく」は通用しない

Related Contents 関連コンテンツ

Guidance 転職ガイド

Ranking ランキング