びよう道 vol.22 S.HAIRSALON植田高史さん 〜自分で自分の目的地を決めろ。大事なのは向き不向きじゃなく、決めるか、決めないかだ。〜
破天荒だった20代の経験が、今の僕をつくっている
でもね、僕の20代を知っている人は、このインタビューを読んで「ちょっといい話みたいに語ってんなよ」って思うかもしれません(笑)。若い頃はここで話せないようなこといっぱいしてきましたから。今も忘れられないのはサロンを辞めるときに後輩の寄せ書きに「人間として欠落した部分が好きでした」って書いてあったこと。どういう意味だよと思いましたけど、確かにそのころは仕事も遊びも限界までやっていたし、人間らしい暮らしをしていなかったんですよ。
本当にいつ寝ているんだっていう話で。あの頃の暮らしを今やったら死んじゃうでしょうね(笑)。若い美容師さんに自分と同じことはしてほしくないけど、あの頃の刺激や経験が今の僕をつくっているのは間違いないです。
着実に成長している実感はあるけれど、自分が一人前だと思ったことはない
今も僕は未熟というか、一人前になったとはとても思えないですね。目指していたところに少しは近づくことができたかもしれないし、お客さまにも恵まれているのは確かだけれど、だからといって一人前と言っていいのか僕にはわかりません。技術も確実に上手くなっているし、経営者として勉強不足を感じて反省することもあるし。日々、改善したほうがいいことを見つけているような感じだから、一人前ではないかな。ただ、美容師になるときにイメージしていた理想に近づいている実感はあります。まあでも、まだまだ山を登っている途中という感覚ですが、自分で決めた高い山に登っているわけですから、充実はしていますよね。
今まだ目標が決まっていない人もいると思うけど、とにかく今、決めちゃえばいいんですよ。自分に問いかけて、自分が本当にやりたいことを決めて、そこに向かって進んでいけばいいんです。
- プロフィール
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S.HAIR SALON
代表 / Director 植田高史(ウエダタカシ)
人気絶頂期に日本を飛び出し、世界を放浪。帰国後、S.HAIRSALONを2003年に開業。サロンワークを中心にファッション誌や広告撮影、プロダクト開発などに携わる。顧客だけではなく、同世代の美容師、編集者などからも慕われている。
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