びよう道 vol.22 S.HAIRSALON植田高史さん 〜自分で自分の目的地を決めろ。大事なのは向き不向きじゃなく、決めるか、決めないかだ。〜
自分のゴールに大きな旗を掲げたら、そこに向かっていくしかない
美容師になると思い込んだら止められなくて、先生にも「やっぱり大学進学をやめます。美容師になると決めました」と伝えました。なんで美容師になろうと思ったのかうまく説明できないけれど、やりたいこと、好きなことなどを考えて、自分と徹底的に向き合って、真剣に考えたことがよかったのかなって思います。
大事なのは腹をくくって「やる」と決めてしまうこと。人にやらされていることって限界もあるじゃないですか。でも自分でやるって決めちゃったらやるしかないし。大きい旗をあげたなら、もうそこに辿り着くまで逃げられないっていう感じですかね。とにかく決めることが大事なんだと思います。
無駄な経験はない…遠回りをした経験も自分の強みになる
若き日の僕も美容の世界で高い山に登ると決めました。美容師として素敵な髪型をつくりたいと思い、自分の足で情報や素材を集めていましたね。今みたいにスマホですぐに写真を見つけられる時代じゃなかったから、洋書を買ったり、海外に行ってみたり。遠回りもいっぱいしていると思います。
なんでも簡単に手に入る今の時代もいいんですけど、簡単に手に入るからこそ、すぐに吸収した気分になってしまっているというか。情報もそうだし、技術に関してもそれは同じで、ちょっと遠回りしたり、役に立つかわからないような経験なんかも大事だと思うんですよね。
朝から夜までサロンワークをして、夜はモデルハント。家に帰ったらウィッグで練習。その繰り返しの毎日でした。でも、自分で決めてやっていることだからそれを苦とも思っていなかったです。とにかくできることは何でもやって、何でも吸収して、自分の中を全部それで埋め尽くして、それを目の前の仕事や商売に結びつけるために手探りでやっていました。
今ならSNSでモデルさんを募集したほうが早いし、それを否定するつもりはないです。でも、街で声を掛けるのと、スマホでDMを送るのとでは得られる経験が違うとは思っていて。夜の寒い中で声をかけて話を聞いてもらうわけで、そこで身につくこともあるはず。辛いとか面倒だとか思うこともあるかもしれないけど、無駄な経験ってないんですよ。