びよう道 vol.22 S.HAIRSALON植田高史さん 〜自分で自分の目的地を決めろ。大事なのは向き不向きじゃなく、決めるか、決めないかだ。〜
美容室でも待遇や休日が大切と言われる時代。もちろんそれも大切ですが、美容人生のどこかで“心も体も美容でいっぱい”という時期があってもよいかもしれません。
「びよう道(みち)」は、そんな地道で壮大な鍛錬の道を歩んできた“美容の哲人”に、修業時代に一人前になったと思った瞬間や美容の哲学など、それぞれの美容の道を語っていただく連載企画です。
第22回目は、S.HAIRSALONの植田高史(ウエダタカシ)さん。20代前半ですでに月500人以上入客し、ヘアメイクもこなし、メディアからもひっぱりだこ。後輩からも慕われ続けている好人物です。休む間もなく仕事と遊びに勤しんできた植田さんのルーツや仕事哲学についてお話しいただきました。世の中の当たり前に流されず、主体的に生きることの大切さに気づかせてくれるインタビューです。
「大学に何をしにいくんだ?」と聞かれ、言葉に詰まる
高校生のころ、沖縄の武道を母体として生まれた「躰道(たいどう)」に夢中でした。全国大会に出て、表彰台に立ったこともあります。その実績をベースにして、高校卒業後は大学に進学しようと思っていたんですが、師範代の先生にそのことを伝えると「大学に何をしにいくんだ?」と聞かれたんです。意外な反応をされて、言葉に詰まってしまいました。
「大学は学びたいものがある人が行くところだ。お前が何をしたいのか聞くまでは推薦しない。俺は何十年も選手や教員としてやってきたけれど、この仕事が自分に向いているのか向いていないのか、いまだにわからない。大事なのは向き不向きじゃなく、決めるか決めないかだ。今決められないなら、一生決められないからな」
その当時、僕は若さゆえに天狗になっていた部分もあったかもしれません。大学に行くのが普通だと思っていたし、親もそれをよしと考えてくれていたのに、先生に厳しいことを言われて正直、「ちょっと何言ってんの?」って感じだったんですよね。
だけど、そのことがあってから自分の人生を考えるようになりました。そしてある日、友人と一緒に髪の毛を切りに行ったときに「これだ!」って降りてきたんですよね。もう本当に直感でしかないんですけど、一緒にいた友人にも「俺はこれで行こうと思う」みたいに話した記憶があります。若かったから、美容の世界でてっぺんを目指すくらいのことを言っていたかもしれないですね。
>自分のゴールに大きな旗を掲げたら、そこに向かっていくしかない