びよう道 vol.20  gem森川丈二さん 〜取り掛かる前に完成予想図を描け。あらゆる観点から完璧を追求しろ。ただし、足跡を残してはならない。〜

いつも「自分の撮影」だと思ってやってきたから独り立ちも怖くなかった

 

 

肩書きはアシスタントであったとしても、自分の仕事だと思って撮影に取り組む。自分がヘアスタイルをつくっていると思って師匠と一緒に手を動かすイメージをする。その積み重ねがあったから、独り立ちするときも怖くありませんでした。何をどうすればいいのか、しっかりと頭に入っていましたから。だから今、アシスタントとして頑張っている人たちにも、自分の完成予想図と比べてどうなのか考えてほしいし、完成予想図がないなら最初にイメージしてみてほしい。言われたことしかできないのは、主体的にゴールを描いてないからです。

 

 

ちなみに、今でも一番のアシスタントだと思っています。(笑) 数年前、大阪で美容の国際大会があったとき、大竹さんにアシスタントとしての同行を志願しました。そこにいたみなさんは半信半疑のようでしたが、しっかりとバックステージを支えました。いつもはバタバタらしいのですが、当日はスムーズにことが進んで本番までの時間が余っていました。その時間で、大竹さんはメイクまで仕上げていました。こんなことは滅多にないよ。とてもうれしそうにされていたし、「森川、ちょっと襟足切ってくれ」と僕にカットの機会をつくってくれました。このキャリアになっても、あの頃と変わらずサポートする喜びを味わえるものなんです。本当に幸せな1日を過ごすことができました。

 

 

今でも、完成予想図通り完璧に仕上げられることはない

 

 

撮影の流れをイメージしたり、ヘアスタイルを描いたりすることはアシスタント時代から得意でした。でも、自分の頭の中で完成予想図はあるのに、それを自分の手で再現できないもどかしさがありました。だから技術を磨く! 完璧なものはなんてできません。何がダメだったのか今でもその都度振り返っています。

 

鏡の前では完成予想図通りにできたと思うこともありますが、カメラの前に立つ姿に違和感を覚えることも写真で上がってきたときに「あれっ」と思うこともある。微妙にライティングとあっていないとか、衣装とのバランスが少しだけ良くなかったりとか。だからなかなか「よっしゃ!」というところまでたどり着けないんです。その場の空気感や流れで「よっしゃ!」と思っても、後から見直して「もっと素敵にできたんじゃないか」と思ってしまうこともあります。

 

 

>「これで完璧」と決めてしまったら、その先の成長はない

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