びよう道 vol. 17 Nicole. 西村 晃一さん 〜情熱を持って、夢を語って、一生懸命やっていれば、必ず応援してくれる人たちが現れる〜

お客さまの要望通りに切ることはほとんどない

 

 

美容師としてのポリシーは、髪を切るのではなく、人をつくることです。うまく切ることも大事なんだけれども、お客さまの個性をどう引き出していくのかが重要なファクターであり、美容師のセンスであると思っています。

 

カウンセリングをして、お客さまの要望通りに切る人もいると思うけれど、僕らからするとそれは美容師の仕事とちょっと違うなと。大事なのは、お客さまの要望を聞いた上で、「あなたにはこっちのほうが似合う。必ず気にいるから任せてほしい」と言えるかどうか。そして、「あなたの魅力は横顔。いい男の横にいるとき、髪を耳にかけたらセクシーに見える」という具合にデザインに込めたストーリーまで伝える。この積み重ねて「西村さんじゃないと任せられない」と言われるヘアデザイナーになれるのだと思います。

 

 

ヘアコンテストにも積極的に出場して、ちょこちょこと賞はいただいていました。でも優勝する人は東京の有名店の人ばかり。その後、美容師ブームが到来して、雑誌やテレビでも美容師が取り上げられて、野沢道生さんなど美容師の名前が世の中を駆け巡ったことに衝撃を受けました。僕も美容師ですから、「メディアに出られるようになったらおもろいやろな」って思ったんです。

 

有名になるためにはまず、雑誌や業界誌に載せてもらえる作品が必要だと考えたんですが、自分で撮影してもなかなかうまくいかない。そうしたら、知り合いのカメラマンさんが「撮りますよ」と言ってくださって。おかげで自分のイメージに近い作品をつくれるようになりました。

 

業界誌デビュー後、美容師人生が一気に加速した

 

 

いつかメディアに取り上げられたいと思って糸口を探していると、ある業界誌の最後に「あなたの作品を応募してみませんか」と書いてあったんです。写真とフィルムを送ったら「あなたの作品を見開きで2点載せることになりました」と連絡がきました。そのとき「東京の有名な美容師じゃなくても取り上げられるんだ」と思って、いろいろな業界誌に応募したんです。東京の出版社に自分の作品を持ち込んだこともあります。そうしたら意外とみんなちゃんと見てくださったんですよね。そんなこんなで連載を持たせていただいたり、僕の作品が好きだという人が一緒に働きたいといってサロンにきたり、憧れの存在であるDoubleの山下浩二さんと対談をもたせていただいたりと、うれしい出来事がたくさん起こりました。

 

 

表参道のど真ん中で、50坪のサロンを構え、スタッフをたくさん抱えて、美容師をしているDoubleの山下浩二さん。それに対して僕は10坪で、椅子も3脚しかないサロン経営者でした。山下さんと会って「自分も頑張ればこうなれるのかもしれない」と肌で感じたことも、僕にとって大きな転機でしたね。「美容師として勝負したい。大きな店舗でやろうと思っている」という話をすると、スタッフもお客さまも応援してくれました。自分には応援してくれる人がたくさんいることがうれしかったし、この業界で食べていく自信がつきました。情熱を持って、夢を語って、一生懸命やっていれば、必ず応援してくれる人たちが現れるものなんですよ。

 

 

>危機が過ぎ去った後、また夢の続きが始まる

Related Contents 関連コンテンツ

Guidance 転職ガイド

Ranking ランキング