びよう道 vol. 17 Nicole. 西村 晃一さん 〜情熱を持って、夢を語って、一生懸命やっていれば、必ず応援してくれる人たちが現れる〜

 

美容室でも待遇や休日が大切と言われる時代。もちろんそれも大切ですが、美容人生のどこかで“心も体も美容でいっぱい”という時期があってもよいかもしれません。

 

「びよう道(みち)」は、そんな地道で壮大な鍛錬の道を歩んできた“美容の哲人”に、修業時代に一人前になったと思った瞬間や美容の哲学など、それぞれの美容の道を語っていただく連載企画です。

 

第17回目は、大阪にあるヘアサロンNicole.の代表、西村 晃一(にしむら こういち)さん。雑誌や業界紙で活躍し、JHAなどのヘアデザインコンテストの受賞歴も多数。さらにはヘアサロンの内装事業も行うクリエイティブセンスの持ち主です。今回はそんな西村さんの修行時代のお話を伺いました。地方で活躍する若手美容師さんにぜひ読んでいただきたいインタビューです。

 


 

ワインディングコンテストで恥をかいて意識が変わる

 

 

僕が美容師になったばかりのころは、若かったこともあって仕事を舐めていましたね。学生の延長のような気分で働いていたから、5分くらい遅刻してもそれを悪いことだと思っていませんでした。先輩も遅れていることだし、僕も少しなら遅れてもいいやろと。オーナーはきっと「こいつ本当に大丈夫なんかな」って思っていたんじゃないですかね。でも、甘えが抜けるまでに、そんなに時間はかかりませんでした。

 

僕が変わったきっかけはワインディングのコンテストです。高校を出てから通信で美容師免許を取っているから、ワインディングの練習をガッツリやってこなかったんですよ。コンテストまでに練習してなんとか巻けるようになったんですが、会場でやったときはぐちゃぐちゃになってしまった。隣を見ると、キレイに巻いている人がいるわけです。自分の作品を見られるのがすごく恥ずかしかったですね。その一方で、「この人たちみたいに上手く巻けたらおもしろいだろうな」って思ったんです。

 

 

それから何があっても毎日1回は巻くことを決めました。最初は1日1回。それが2回、3回、4回と増えていく。そうして続けていくうちに10回はやらないと寝られないくらいになってくるんです。そして、半年くらいたったとき、またワインディングのコンクールに出させてもらいました。そこで小さい賞をいただいたんです。むちゃくちゃうれしくて、自信がついたんですよね。それからモノの見方が変わりました。技術はおもしろい、もっと吸収したいと考えるようになったんです。

 

メディアに名前が出ている美容師に強烈に憧れた

 

 

美容業界誌も食い入るように見るようになりました。「カッコイイってどういうことだろう」「カワイイってどういうことだろう」と理解しようとしていましたね。今みたいにSNSもないから、情報源は業界誌と雑誌だけ。そこに出ている美容師さんたちに強烈に憧れていました。

 

美容のスイッチは入ったもののプライベートは結構めちゃくちゃでしてね、終電が終わったあとは遊びに行けないから、オーナーの車を勝手に借りて、女の子に家に遊びに行ったりしていました(笑)。本当に寝ないで練習して、遊んで、また朝サロンに行くという生活でしたね。

 

 

カットの練習をしていたときは、大勢の人に助けてもらいました。勤めていたサロンのすぐ近くにサーファーショップがあったんです。そこの店員さんたちと仲良くなって、カットの練習に付き合ってもらっていました。僕はウィッグ代がかからなくて済むし、店員さんたちはただで髪を切れるから、カットモデルを喜んで引き受けてくれたんですよね。

 

「西村くんがタダで切ってくれるって!」という紹介が紹介を呼んで、何十人もの人たちが、髪を切ったり、染めたりさせてくれたんですよ。デビュー前から、ウィッグではなく、人の頭で勉強できたことは大きかったですね。デビューしてお金をいただくようになってからも、デビュー前に切らせてくれていた半分くらいの人が通ってくださいました。

 

>お客さまの要望通りに切ることはほとんどない

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