びよう道 vol.16  Rougy上原 健一さん 〜「感謝」の心が大きな「器」をつくる。順調なときも、逆境に向かうときも、感謝を忘れない。〜

サロンワークでも撮影でも、どこかに自分印を入れたい

 

 

イチ美容師として大切にしているのも、やはり感謝ですね。お客さま、モデルさん、先輩、後輩、美容業界への感謝をいつも持っておきたいと思っています。みなさんのおかげで、いつまでも作品づくりができるのだから。

 

サロンワークや作品づくりでは、自分が切ったという「自分印」をどこかに入れたいと思っています。いい髪型、いい作品がつくることができて喜ばれたら僕もうれしいですよ。せっかくつくるのだから、特別なものをつくりたい。「上原には敵わないわ」と思われるものを出し続けることで、美容師さんが自分に寄ってきてくれるのだと思っています。

 

 

サロンワークと撮影、基本的な考え方は一緒だと思っています。ただ、昔は違いました。撮影は特別なものだと思っていて、「すごいことをしてやろう」と過激なオシャレに挑戦していた時期もあったんです。自分のつくりたいデザインのために、モデルさんにウィッグをかぶってもらうこともありました。美容師からのウケを狙っていたわけじゃないけれど、普通じゃないものばかりつくっていたんですよね。

 

でもね、尖ったデザインって長く見続けることはできないんですよ。お洒落っていうのはもっと複雑で、新しくて、しかも飽きないヘアデザインがあるんです。たとえば、昔の映画に出てくるヘアスタイルは、今見てもナチュラルで素敵に見えるものがあれば、時代性が出過ぎて古臭く見えるものもあります。そのどちらのヘアスタイルからも学ぶべきものがあるんです。

 

時代が変わっても古く見えないヘアスタイルには、真新しさはありません。一方で、今古臭く見えるヘアスタイルは、流行った当時は新しいものでした。その両方がないと発展性がないんですよね。僕は生きている間は、新しいだけではなく、デザインとして優れているものをつくり続けたい。昔の真似をしたくない。だから、ナチュラルなデザイン、奇抜なデザインのどちらからも学び続けています。

 

どんな状況でも腐らず、感謝の気持ちを持ち続けてほしい

 

 

僕が若い美容師さんに伝えられることがあるとしたら、繰り返しになるけれど感謝の気持ちを持つことですね。若いころの僕はバカで、ヤンチャなところもあったかもしれない。それでも、感謝の気持ちを持っていたから、周りのみんなといい関係を築くことができたのだと思います。誰かに何か言われてキレてしまうのは、感謝の気持ちがないから。僕が今、美容業界が楽しいと思えるのも、やはり感謝の気持ちがあるからだと思っています。

 

新型コロナウィルスの影響で、今世の中は大変です。でも、大変な状況がずっと続くわけじゃない。きっとまたいい時代がやってきます。だからこそ僕たちが今やるべきは、準備をしておくこと。準備の内容は勉強でも練習でもなんでもいいですが、準備している人こそが、世の中が動き出したときにスタートダッシュできる人です。

 

ちなみに僕は、これまでほとんど家族サービスをしてきませんでした。それが自宅待機の時間が増えた影響で、家族サービスできるようになったんですよね。家族にも喜ばれるし、僕もうれしい。お先真っ暗に見えるか、一筋の光が見えるのか、その人の考え方次第だと思うんですよね。なので、いい意味で開き直り、楽しむことも大事だと思います。これを読んでくださっているみなさん、一緒に頑張りましょう。

 

 

 

プロフィール
Rougy
上原 健一(うえはらけんいち)

鹿児島県出身。山野美容専門学校卒業。都内2店舗を経てHEARTSに入社。「HEARTS」の店長を務めたのち、2001年Doubleオープン時に店長就任。2006年、第17回JHAグランプリ受賞。2011年に独立し「Rougy」をオープン。 サロンワークをはじめ一般誌・業界誌、セミナー等で活躍中。

 

 

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