びよう道 vol.14 Cocoon VANさん 〜美容師を天職だと思ったことはないし、自分がヘタクソだってことを片時も忘れたことはない〜
甘い言葉にのせられて「使い捨て美容師」になって欲しくない
若い美容師さんに言いたいのは、SNSに騙されるなってことかな。今やっていることが一生できることか一度考えて欲しい。フォロワーの数で評価されるってヤバいことなんじゃないかと僕は思う。「映え」や「盛り」を技術だとかデザインとか思ったらダメ。そんなの一時的なブームと同じだよ。
みんな早く結果を欲しがるのはわかる。だけど、結果が出ないことは悪いことでは全然ない。早く結果が出たほうがそりゃいいし、給料だって高いほうがいいに決まっている。休みが取りやすいことも否定するつもりはないよ。でも、そこだけ見ているようじゃダメだと思う。1年でデビューさせますっていうサロンもあるけど、それで本当にできるんだったら、昔からみんなそうやっているはずだよ。ウチだって、アシスタント期間が長いより短いほうが経営的にはいい。アシスタント期間っていうのは投資をしているのと同じだから。時間をかければいいってわけじゃないけど、1年でプロになれたら世の中の全員がオリンピックに出てるでしょ!?(笑)とりあえず早くデビューできるとか、手取りが10万円多いからという感覚で、間違った選択をしてほしくないと思っています。
誤解のないように言っておくと、長くアシスタントをするほうが偉いとか、上手くなるとかではないよ。美容師としてお客さまの髪を切るってことはそんなに甘いことじゃないってこと。美容師人生は長いから、1年や2年の違いは大差ないです。甘い言葉に騙されて、使い捨て美容師にならないでください。
- プロフィール
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Cocoon/オーナー
VAN
1972年生まれ。長崎県出身。大村美容専門学校通信課程卒業。福岡市内にて『TONI&GUY』に勤めた後、上京。『DaB』、『HEARTS/Double』を経て、2009年に東京・表参道に『Cocoon』をオープン。2020年4月に銀座店もオープン。
(取材/外山 武史・撮影/菊池麻美)