macaroni coast中澤保人さんのびよう道 〜「木を見て森を見ず」ではつまらない。ヘア、モデル、メイク、服、空間…全てが調和し、相乗効果を生み出す世界をつくる〜
ヘアだけで完結する撮影はない
撮影は発表の場だから、センスの良さ、感度の高さを表現したいという意気込みで、真剣に臨んでいました。そうしないとサロンワークに成果を持ち帰って、お客さまを感動させられないと思っていたんです。ただ、撮影の後は落ち込むことのほうが多かったかもしれない。自分の頭の中のイメージと誌面で見たときのイメージのギャップを感じて、「こうやればよかったな」と後悔することしきり。業界誌などでトータルプロデュースさせてもらえる撮影をするようになって初めて、本当につくりたいものを表現できるようになったという感覚です。
サロンワークだけではなく、数多くの撮影に携わることができたのは自分にとって大きなプラスでした。雑誌の撮影はトータルのファッション感が勝負になります。必ずモデル、服、メイク、ヘアがセットになっているわけだから、ヘアだけ先走るわけにはいきません。ヘアだけでは絶対に完結しないのです。
日頃から全体のファッション感を大切にしてサロンワークをしていると、感度の高いお客さまが集まってくれるようになります。すると、サロンワークも、やりがいが高まるんですよね。オシャレな人たちに支持されることが喜びでした。
macaroni coastを立ち上げ、アパレルブランドもプロデュース
DaBには15年間在籍し、そのうち13年間店長をやっています。次第にサロンが大所帯になり、1店舗に48人くらい在籍していた時期もありました。それだけの人数になると、どうしても退職の相談など、スタッフの相談事をいっぱい受けることになるんですよね。すごく大切に育ててきたスタッフが辞めていくのは辛いじゃないですか。でも、人それぞれの人生があるし、人数が多ければ多いほど離れていく人も増える。これは仕方がないことです。やがて少数精鋭で、ファッション感度の高い人たちから支持されるブランドをイチから自分でつくり、プロデュースしていきたいという気持ちが膨らんでいったんですよね。そうしてmacaroni coastが生まれました。
僕が目指したのは、美容業界の枠組みを超えた表現の追求です。美容師には才能がある人、センスがある人がいっぱいいます。でも、美容業界から飛び出したとき、どう見られるのかに興味がありました。
日頃のサロンワークや撮影はもちろん、アパレルブランドや美容商材開発でも、いつも美容業界の枠組みにとらわれないようにと考えています。『Patchy Cake Eater(日本語訳はツギハギだらけのやさ男)』というアパレルブランドのディレクターを務めたことも。デザイナー、フォトグラファーをはじめとするクリエイターをつなぎ、ブランドの魅力を発信して、東京コレクションで5期にわたって発表でするまでに成長させることができました。
>プロデュースしたSEE/SAWが「美容師が選ぶシャンプーNo.1」に