THE REMMY 上田竜二さんのびよう道 〜 ヘアコンテストを連覇しても有頂天になれなかった。自分に対して簡単にOKを出せないからこそ、ずっと成長できる 〜
コンテストに優勝しても有頂天にはなれなかった
WELLA TRENDVISION awardは、フォトコンテストとモデルをつかった2次審査があり、ファイナルへと進みます。優勝者は海外大会にチャレンジできるという流れです。
1次のフォト審査を通過して、なんとか2次審査に進めましたが準備不足を痛感しました。というのも、周りの出場者の方達はみんなバリバリ仕込みをして本番を迎えているのに、僕は大した仕込みもできておらず…。メイクも含め一から始めたから時間内に仕上がっておらず。メイクが半分しかできていなかったから、髪を全部顔に下ろして雰囲気が出るようにごまかしました。仕上がりは当然納得いくものではありませんでした。
それでも奇跡的にファイナルに進出できたのですが、「こんな適当なことをやっていたら絶対ダメだ!」と気持ちを入れ替えました。その瞬間から衣装選びなどにも本気を出して、コレクションは全部見たんじゃないかというくらい遡って学んだし、知り合いのツテで自分のイメージを具現化できる衣装をつくってくださる人を探して一から作成してもらいました。
メイクはアシスタントにお願いするから、そのイメージの共有をしっかりして、本番に備えて毎日練習していました。その結果、優勝。でも、偶然の要素が大きかったと思います。過去の優勝者の作品を全部分析して、少し変化を出していこうと思ったのが、審査員の方にたまたま刺さったのかなと。
優勝しても有頂天にはなれませんでした。毎年誰かが優勝するものですし。むしろ世界大会に出て、美容の考え方の違い、美の基準の違いに驚くとともに、落ち込みました。自分がやってきたことはなんて拙いんだろうと。
その後、Japan Hairdressing Award 2012 ライジングスターもいただき、WELLA TRENDVISION awardでももう一度グランプリをいただきました。周りから声をかけてもらう機会も増えましたが、それでも有頂天にはなれなかった。
というのもサロンで周りにいるスタイリストたちがオーナーはじめ怪物揃いだったから。普通は逆だと思うのですが、外で評価されるよりも、身近な人たちに認められたいという気持ちがずっと強かったですね。コンテストで良い結果を出しても上を越えられない環境というのは、厳しいけれど、今振り返ると恵まれていたのかもしれません。
いつまで経っても「何かが足りない」 この感覚は一生変わらない
怪物に囲まれた環境で育ってきたし、オーナーになってからも未熟さを感じる瞬間が本当にたくさんありますから、自分が一人前になったと思ったことはないです。いつも何か足りない、未熟さを感じるという感覚は、これからもずっと変わらないんだろうなと思います。
福岡から上京したとき、思い描いていた自分の姿には近づけているかもしれないけれど、「上には上がいる」ことを知ってしまった今、自分に簡単にはOKを出せないですね。この先もきっとこれで満足と思うことはないと思います。
でも、だからこそサロンワークなど日々の仕事に何かしら工夫を加えようと思えるし、それこそが成長だし、クリエイティブなのかなと。
とにかく、僕は厳しい環境で、何度も挫けそうになりながらもなんとか続けてきたから今があると思っています。
越えられない壁に囲まれた生活は、その最中は苦しいけれど必ず成長につながると信じています。
だから、今同じように苦しんでいる若手美容師さんには、ありきたりな言葉だけど続けてみることを勧めたい。
その環境があなたを成長させるし、その先に、きっと楽しいこともたくさんあると思います。
多分♡
- プロフィール
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THE REMMY
代表/上田竜二(うえだりゅうじ)
福岡県出身。福岡美容専門学校卒。Double/HEARTSに17年間所属。Japan Hairdressing Award 2012ライジングスター最優秀賞など受賞歴多数。2015年に独立し、イセキリエさんとともにTHE REMMYを立ち上げた。現在はサロンワークをはじめ、スタッフ教育や撮影、セミナーなど幅広く活動している。
http://www.the-remmy.tokyo
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