LILI三好真二さんのびよう道 〜楽な方に流されて「その他大勢」になるな! 高みを目指すなら、それに見合う行動を選択せよ。〜
師匠の一番弟子になり、名前を売りまくる
入社後はもう一度、アシスタントからやり直しでしたが、メイクを学んでいたことが自分の武器になりました。入社初日、山下さんが撮影をしているとき、自ら、進んでメイクのへルプにはいりました。中途入社で他のアシスタントより年齢も上だから、「ここで引いたら後がない」と思っていたんですよね。それから、山下さんの撮影を手伝うようになり、作品のクレジットに「メイク 三好真二」と名前が載ったときのことは忘れられないです。
カメラマンのアシスタントとも仲良くなり、休日はスタジオを借りて撮影をさせてもらうことに。撮り溜めた作品をまとめて、編集部に売り込みにも行きました。当時の編集者は怖い人が多くて、「こんなのダメだよ」「やる気あるの?」みたいにボロクソ言われていましたね。
けれど、その中に1ページくれる人がいたんです。山下さんにも協力してもらって、英字新聞を敷き詰めた部屋にモデルさんを立たせて撮影したことを今でも鮮明に覚えています。めちゃくちゃ緊張しましたね。編集者さんも、その取り巻きの人の視線も怖かった。今の撮影現場では、そんなことないですけどね。当時はそんな感じだったんですよ。
僕が思うに、撮影のチャンスもお客さまも自分で掴みにいかないといけないと思います。撮影の仕事も、お客さまも待っていたらこない。やっぱり自分から「紹介してください」って掴みにいかないと。今はそういう姿勢の人が意外と少ないからこそ、大事なことだと思います。
質より先に、「量とスピード」が技術向上の極意
年齢こそ重ねましたが、ハングリーだった若手時代と中身はあまり変わりません。いつも自分の目標を紙に書いて見返しているし、そこに向かって行動していないと不安なんですよね。
技術の練習だってやります。プロ野球選手はベテランになっても練習するじゃないですか。でも、美容師はなぜかやらなくなる人が増える。僕は、技術の練習はやればやるほど逆に不安になるんですよ。もっと上があることが見えてしまうから。もっと上手くなりたい、もっと新しい技術を身につけたい、その連続です。
練習は裏切らないって言いますけど、プロなら練習して当たり前だし、やらないと後悔すると思うんですよね。今も練習して技術に磨きをかけているし、作品だってつくるし、そうやってずっとやり続けることが僕の生き方なんです。
そして、僕たちは技術をしっかり後輩に伝えていかないとダメだと思う。とはいえ、ただ単に厳しく、時間をかけてやればいいわけではない。これは僕が身につけてきたやり方でもあるんですが、優先すべきは、質よりも、量とスピードです。1時間という限られた時間の中で、決められた量をやり切ることが大事。最初はみんな質を求めるけれど、それだと時間がかかります。スピードを優先し、それを繰り返すことで、質も上がっていくものなんです。
>僕が美容師を辞めるときは、お客さまに求められなくなったとき