LILI三好真二さんのびよう道 〜楽な方に流されて「その他大勢」になるな! 高みを目指すなら、それに見合う行動を選択せよ。〜

 

美容室でも待遇や休日が大切と言われる時代です。もちろんそれも良いですが、美容人生のどこかで“心も体も美容でいっぱい”という時期があっても良いかもしれません。

 

「びよう道(みち)」は、そんな地道で壮大な鍛錬の道を歩んできた“美容の哲人”に、修業時代に一人前になったと思った瞬間や美容の哲学など、それぞれの美容の道を語っていただく連載企画です。

 

今回は原宿・表参道エリアにある有名店LILIの代表、三好真二さんの「びよう道」に迫ります。三好さんは1996年に奈良県から上京し、SABFA(Shiseido Academy of Beauty&Fashion)卒業後、東京・原宿の『HEARTS』で美容業界のレジェンド・山下浩二さんに師事。JHAでファイナリストに名を残すなど、クリエイティブコンテストでも存在感を発揮してきました。

そんな三好さんの遍歴と、美容師としてのポリシー、後輩美容師への想いをうかがいました。

 


 

1位を手に入れるには、何かを手放さなくてはならない

 

 

僕は実家の床屋を継ぐことも視野に入れて、大阪の美容専門学校を卒業後に奈良の美容室で修行をしていました。

 

人間って弱い生き物だから、8割、9割が楽なほうに流れるものだと思っています。でも僕は、残りの2割、1割に入りたかった。そのためには、どんな集団の中にいるかがすごく大事だと思います。自分に厳しい人たちの中にいれば、自ずと自分も磨かれていくものです。

 

そんな考え方の持ち主なので、カリスマ美容師ブームで盛り上がっていた時代、東京の美容室で働きたい気持ちがどんどん膨らんでいったんですよ。決して奈良の美容室がダメだからではなくて、単純に「美容業界のてっぺん」を見てみたくなったんです。

 

 

オーナーにその旨を伝えると「1年間で1番のスタイリストになったら辞めさせてやる」と言われたんですね。その美容室には、社員が70人くらいいました。そこで、僕は本当に1位をとったのですが、1位を取るためには、何かを手放さなくてはいけません。僕は遊びや誘惑を全て断ちました。飲みの誘いも、遊びの誘いも全て断って美容の技術を磨くことに集中したんです。一方で、サロンワークは楽しくやることを貫いた。売り上げに躍起になっている人にお客さまはつきません。楽しそうに仕事をするからお客さまが集まってくるんです。

 

奈良の美容室を辞めることが決まったときには22歳になっていました。当時の事情を考えると、上京するタイミングとしては遅いほうでした。それもあり、カリスマ美容師ブームの火付け役になったサロンを片っ端から受けたんですが、全部落ちてしまったんです。

 

「SABFA」への入学が上京のきっかけに

 

 

あるとき、『SHINBIYO』(新美容出版)を眺めていたら、資生堂のヘアメイクアップチームで活躍していた川原文洋さんと、現在Double / SONSの代表である山下浩二さんの対談が載っていました。そこで、資生堂の「SABFA」という超難関メイクスクールがあり、一流ヘアメイクを輩出していることを知り、ヘアメイクになるべく入学試験を受けることにしたんです。幸いにも試験に合格して1年間通うことになったのですが、不合格だったら僕は上京していなかったでしょうね。

 

平日は授業を受けたり、課題に取り組んだりしていたので働く時間はありません。ありがたいことに、土日だけ知人の美容室で働かせてもらいました。そこでも、たくさんのお客さまに恵まれて、オーナーから「このお店をあげるから継がないか?」とまで言われたんですよ。そこであらためて美容師の仕事の楽しさを実感したんですよね。ヘアメイクを学ぶ一環で、東京コレクションのバックステージに入らせてもらったりもしましたが、僕はやはり美容師をしたいと思いました。

 

 

そんな背景があり、僕は当時個人的に一番クリエイティブのレベルが高くて、少数精鋭のサロンだと感じていたHEARTS(山下浩二さんが立ち上げたサロン)に履歴書を持っていたんです。待てど暮らせど連絡がこないので、自分から連絡したら忘れられていたんですね(笑)。

 

しかも、面接を受けにいったら、「なんでウチなの?他の美容室にいけばいいじゃん」みたいに言われまして。めっちゃ腹が立ったんですけど、なぜか合格でした。でも僕、「もう半年、SABFAで学ぶので」と一度は入社を断ったんですよ。そうしたら、「じゃあ、半年後にまた受けにきなよ」と。そんなちょっと変わった経緯で、前職のHEARTSに入っているんです。

 

>師匠の一番弟子になり、名前を売りまくる

 

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