gricoエザキ ヨシタカさんのびよう道 〜たった一畳の空間から始まった破天荒人生! 夢を叶えたその先にあるもの〜
お金のことしか頭にない美容師は本物じゃない
今は若い頃と比べるとかなり落ち着きましたが、昔から変わってない部分もあります。僕はサロンの後ろ盾を失って、本当に何も持っていなかったときから、お客さまに支えられてきました。今のお客さまの多くは、その頃からのお付き合いなんです。長い人だと17年くらいお世話になっています。
ただ髪を切るだけなら、他の人でも切ることができるかもしれません。でも僕は、お客さまのことを理解しているし、髪だけを切っているのとはわけが違うんです。心の底から一番可愛く、一番カッコよくしたいと思っているから、本当の意味で一番可愛く、カッコよくできる。長年のお付き合いになると、結婚されたり、お子さんが生まれたりと、ライフステージが変わります。そこに、美容師として寄り添えることに感謝しています。
表参道や原宿にはめちゃくちゃな数の美容室があるのに、僕のところに通い続けてくれたことに感謝しかありません。あるお客さまは、「原っぱに鏡が一つあれば、エザキくんのところに行く」と言ってくださいました。その言葉を聞いたとき、大切にしたいものがハッキリしました。今僕はお客さまのことを家族と表現します。それは例えば母親や祖母よりも頻繁に会うし、お客さまに支えられてここまでやってきた自覚があるからこそです。
僕は今、カット料金が1万2000円くらいなんですが、「エザキくんは日本ではトップかもしれないけど、ニューヨークにはもっとハイプレイヤーがいるよ。」と言われることがあります。もし、自分が利益に走ったら、今まで僕を支えてくれた人たちを裏切ることになると思うんですよ。僕が海外にいったら、今まで支えてきてくれたお客さまの髪を切れなくなりますから。
もちろん、お金が美容師の一つの評価になっていると思うけれど、お金のことで頭がいっぱいの人は本物の美容師になっていない気がしますよね。お金なんて、所詮数字なんです。それよりも、誰かの役に立つとか、必要とされることのほうが大事なんです。