JENO 堀江 昌樹さんのびよう道 〜「環境」や「機会」は与えられるものではない。自ら動き、生み出すもの。〜

 

美容室でも待遇や休日が大切と言われる時代。もちろんそれもいいですが、美容人生のどこかで“心も体も美容でいっぱい”という時期があってもよいかもしれません。

 

「びよう道(みち)」は、そんな地道で壮大な鍛錬の道を歩んできた“美容の哲人”に、修業時代に一人前になったと思った瞬間や美容の哲学など、それぞれの美容の道を語っていただく連載企画です。

 

今回はJENOの堀江 昌樹(ほりえまさき)さんです。コンテスト「JHA(Japan Hairdressing Awards)」「THA(Tokyo Hairdressing Award)」でも評価され、「KAMI CHARISMA 」にも選ばれており、リアルなデザインが多くの女性から支持されています。今回はそんな堀江さんのこれまでの歩みをうかがいました。

 


 

ブラジルサッカー留学も…!幼少期に始めたサッカーが美容人生の礎

 

 

アシスタント時代は営業が終わったあと1時間とか1時間半とか時間を区切って集中して練習し、そのあとは飲みに行ったりクラブで人脈作りにも力を入れていました。大阪から上京したので、知り合いが全然いなかったし、人との繋がりから新しいことは生まれると感じていたからです。アシスタントなのに自作した名刺を配ったりしていましたね。

 

アシスタント時代は誰よりも早くサロンに行き、誰よりも練習していたと思います。よく怒られるアシスタント時代でしたが、ありがたいことに技術の進みも早く、その当時では早い段階でスタイリストデビューできました。技術を習得するときは、体が覚えるくらい反復するんですけれど、同時に「なぜこうなるのか」と理解を深めながらやっていました。

 

 

時間をかけてダラダラ集中せず練習してもあまり意味がありません。これは幼少時から続けていたサッカーで学んだことです。サッカーの練習は2時間なら2時間の中でウォーミングアップから始まり、シュート練習して、ミニゲームをして…という具合に短期集中でやります。そうやってサッカー選手は成果を上げているんですよね。自分もそういった練習の仕方をしてきたので、今もそれが美容に生きていると思います。

小さい頃はプロサッカー選手になるのが夢だったので中学時代はブラジルにサッカー留学をさせてもらいましたし、高校時代は国体選抜の選手でした。

サッカー推薦で大学にいく選択肢もあったのですが、大ケガの経験があったので「一生続けられる仕事がいいな」と思い、美容師の道へ。努力すればするほど結果が出る仕事だし、何よりカリスマ美容師ブームだったから、「有名になりたい」というミーハーな気持ちもありました。

 

「空気が読めない」会社の誰よりも叱られたアシスタント

 

 

僕が上手い美容師になりたいと思っていたのは、営業中にめちゃくちゃ叱られていたからです。多分、同期の中で一番叱られたんじゃないかな。会社の中でも一番かもしれない。自分が良いと思ったことはなんでもトライする性格なので、それが裏目に出ることが多々あったんですよ。誇張抜きで、毎日何かしら叱られていました。「空気が読めない」とも良く言われていましたね(笑)。実際、相手の気持ちを理解しないまま行動することが多かったです。

 

当時は叱られたことに反発する気持ちがモチベーションになっていました。今振り返ると叱ってもらってよかったです。自分では気づけない大切なことを指摘してもらうことで、成長のチャンスをもらっていたから。でも、若いときはそんな風に考える余裕がないから、自分のダメな部分を直すというより、得意なことで飛び抜けてやろうと考えていました。

 

強い反骨心を持っていたものの、自信がある技術でダメ出しされたときは悔しかったです。今でも忘れられないのですが、ワンレングスのテストになかなか合格できなかったんですよね。自分の中では「ちゃんと切れているのになんで?」という感じです。それが嫌で逃げ道を探したこともあります。

 

 

僕は絵を描くことが好きで、アートにも関心があります。仕事として依頼を受けることもあったので、イギリスに留学して絵を勉強しつつ美容師などでバイトをしながらワーキングホリデーをしたいと思い、先輩にも「辞めます」って言っていたんですよ。でもある先輩から「今の環境で結果を出せないやつはどこに行っても同じだ」と言われました。その言葉を聞いて「自分を正当化するために、ロンドン留学というカッコいい逃げ道をつくっている」と自分自身で感じたんですよね。「現実から逃げるのはやめよう。目の前のことを確実にやって結果を出そう」と決心しました。先輩の言葉は、今も胸の中にあります。

 

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