Cura木藤 由二さんのびよう道 〜 技術習得のコツは「芯」をつかむこと。ムダを徹底的に排除し、仕事も遊びも妥協せずに楽しむ。〜
美容師には人の心に感動を刻み込むことができる仕事
久々に来店されるお客さまの中には、以前僕が担当していたことを内緒にして予約を入れてくるかたもいます。結婚していたら名前も変わっているから予約の時点ではわからないんですけれど、カウンセリングしているときに気づくんですよね。人はみんな頭のカタチや髪質、生え方に違いがあるからわかるんです。「もしかして昔…」と思うんですよね。それで尋ねてみると、「実は20年前に通っていました」と教えてくださったりして。仮にそのお客さまを担当した回数が少なくても、わかるものなんですよ。
また、ちょうど昨日、同じように20年以上前のお客さまから連絡をいただきました。「東京に住む親戚が、大切な場に出るのに髪に無頓着だからカッコよくしてください」という感じのメッセージが届いて、うれしかったですね。お客さまの心の中に、自分の仕事が刻まれていたような気がして。
こういうとき改めて感じるのですが、美容師の仕事はお客さまに感動を与えて、人生を変える力を持っていると思います。だから、美容師になった人、美容師を志している人には、そのことを信じてほしい。美容が大好きという気持ちを大切にし続ければ、きっとそれぞれの素敵な「びよう道」を歩んでいけると思います。
- プロフィール
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Cura
代表・ディレクター/木藤 由二(きとうゆうじ)
岐阜県出身。1991年に『MINX』入社。同店で店長・ディレクターを務め、 2006年春、宿利省吾さんと共に『Cura』をオープンさせる。 サロンワークを中心に一般誌・業界誌・広告でのヘアメイク、セミナー講師として活躍。 柔らかさとエッジのあるスタイルづくりに定評がある。
(文/外山 武史 撮影/菊池麻美)