びよう道 vol.27 風と雲の美容室 JUNさん 〜30年間続けていてもまだ半人前。いくらやっても極められないから美容師の仕事はおもしろい〜
上達するための練習に必要なのは、時間よりも熱
ただし、練習のために時間をたくさん使えばいいというものでもない。強火でチャーハンを炒めるような感覚で、ぎゅっと熱を凝縮させた練習が大事だと思っています。弱火で長時間炒めたチャーハンは美味しくないですから。それと同じく、熱がこもっていない練習を長時間やっても効率が良くないと思っています。
ちなみに僕は、20代のがむしゃらに働いているときも、まだ美容師を一生の仕事にできるとは考えていませんでした。考えていたのは、とにかく競争に勝つこと。闘争心剥き出しで、チャンスをつかみにいっていました。
例えば、サロンに大きめの撮影が入ってきたら、誰が担当するのかふるいにかけられます。そこで選ばれれば勝ったと思うし、選ばれなかったら負けたと思う。負けた悔しさが自分を奮い立たせてくれました。
将来のビジョンなんてなくて、目の前の戦いに勝つことだけを考えていたんです。今だから言えますが、サロンの先輩たちみたいになりたいと思っていませんでした。ただただ勝ちたい一心で、仕事と向き合っていましたね。戦いの先にビジョンがあったわけでもない。でもね、それでよかったと思います。
「勝った先に何があるんだろう?」なんて考えて立ち止まっても意味がないし、負ける前に負けることを恐れてどうするんだって話です。
>カリスマブーム終盤、お客さまの一番になることの大切さに気づいた