朝日光輝(air/TIMELESS)が語る、美容師人生ビフォアアフター【後編】

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夢を与え、ワクワクさせる仕事

 

−美容師に大切にしてほしいことを改めて伝えるとしたら何でしょうか?

 

今ってネットで作品を投稿したり、美容師自身が自己プロデュースをしたり、僕の時代では考えられなかったプロモーション活動や集客の仕方があります。ただ、それらも一つのツールとしては素晴らしいんですが、美容師の場合は実際に会えるわけですよね。だから大事なのはやっぱり、パフォーマンスはもちろんのこと、人間力を磨いて、お客さまに夢を与えたり、どきどきワクワクさせることだと思います。

 

美容師は対人の仕事なので、いろんなツールがあって、いろんな出会い方があるとは思うんですが、サロンってお客さまが美容師に期待して来てくれるところだし、結局は会ったときにどういう技術があるか、どういう人間であるかなんですよね。その人間力を磨くためにも、ありきたりですが、遊びも仕事も全力で取り組んで豊かな人間になってもらえたらと思います。ただ寝ているような休みの使い方はもったいないと思うので、楽しかったなって思えることをたくさんしてもらえるといいですね。

 

理想は信頼しあえる“濃い血のつながり”のような関係が築けるお店

 

−美容室全体として輝くためにはどういったことが必要だと思われますか?

 

美容師として必要な技術や接客の基本、チームワークを大事に。そしてスタイリストは「気持ちがちゃんと技術に乗るように」と、アシスタントにきちんと伝えることですね。大型店って下手すると業務が流れ作業になる危険性があるんですが、そのせいでサロンの魅力が薄まるのが一番嫌なんですよね。airの場合はもう大きくなっていますけど、「万が一魅力が薄まるくらいだったら小さくしちゃおう」と、いつでも小さくする覚悟があります。自分にとっては、絆が強くて信頼し合える“濃い血のつながり”のような関係を保ちながらも、自然と仲間が増えて成長していく店が理想ですね。大きくしたくて仲間を集めるのではなく、想いがつながる仲間が増えて結果的に大きくなる。いい仲間を作れば自然とお客さまにとっても心地よくなると思うし、濃い血の流れる店は例えチェーンであっても、ある意味オリジナルな店舗だと言えると思います。

 

<朝日さんの人生ストーリーから学ぶ、ポイント3>

 

①お客さまを想い、正直になること

お客さまと長く信頼し合える関係を築く秘訣は、「プロフェッショナルの自覚を持って、お客さまに対して正直な提案をしていくこと」だと朝日さんは言います。とはいえ、相手のことを考えているからといって、どんな要望も受け入れなかったり、逆に自分の提案を押し付けてしまうのもNG。あくまでもお客さまの希望を尊重し、喜んでいただけることを優先しましょう。

 

②大切なのは対面したときの人間力

美容師は実際にお客さまを前にして、美容の魅力を伝える仕事。お客さまから見た美容師の印象は、ネットへの数回の投稿よりも1回の接客で決まってしまいます。つまり、ネットで発信する言葉や姿に本人が追いついていないのでは、お客さまをガッカリさせてしまいますよね。仕事が忙しくても、「楽しむときは思い切り楽しむ!」というメリハリをつけることが、人としての魅力につながるのだそうです。

 

③気持ちを技術に乗せること

サロンワークが忙しくなると、お客さまが来店してくれて当たり前と思ってしまったり、ルーチンワークはだらけてしまったり、その仕事に対して不満が出てしまいがち。しかし、それでは朝日さんの言うように、サロン自体の魅力が薄まってしまいます。日々の自分の仕事をもう一度見つめ直し、お客さまが自分の店を選んでくれている理由を考えてみましょう。すると、お客さまに対する真摯な気持ちが技術にも表れるはずです。

 

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プロフィール
美容室airプロデューサー/TIMELESS オーナー

朝日 光輝(あさひ みつてる)

個々の頭の形や髪質に合わせて自然な魅力を引き出す高い技術で注目を集める。数々の有名女性誌の表紙やファッションページ、ショーのヘアメイクを手がけ、トップモデルらから厚い信頼を得る。『マトリックスで考える 売れる美バランス』(女性モード社)、『愛されヘア&メイク』(ベストセラーズ)、『あなたの美を引き出す 正しいヘア&メイク辞典』(高橋書店)など著書多数。

 

(取材/文・阿部夕華  撮影/菊池 麻美)

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