朝日光輝(air/TIMELESS)が語る、美容師人生ビフォアアフター【後編】
自分の仕事で生きていることを実感
−TIMELESSをオープンしてからの日々はどう変化しましたか?
今は妻がマネージャー兼フロントなんですが、朝早くから夜中まで仕事をして、あまり会話もできず過ごしていたairの頃と比べたら、今はほとんど一緒に仕事をしているし、家族との時間は増えましたね。とはいえ、基本的には休みなしでずっと仕事をしているのでプライベートとは言い切れないし、airにいたときと比べると逆に休めないというか、自由そうで自由じゃない。自営業ってそういうことなのかもしれませんね。
−気持ちの面では何か変化はありましたか?
気持ちとしては店を構えてからの方が楽になりましたね。airの役員をやりながら大きな母体をトップとして引っ張っていくのはやっぱりプレッシャーもあるし、自分の意思よりもまず会社や後輩のためをメインに考える必要があったので。今はTIMELESSとairそれぞれ半々くらいのウェイト感になっているので苦しすぎないというか。
−実際に自身のサロンをオープンして初めて気づいたことはありますか?
自分の手から生み出されるもので、食べる物もこのお店も家も成り立っているんだなと。これで自分が倒れたら明日から店をやっていけないですから。より「生きてる!」という感じがしますよね。
プロフェッショナルとしてすべきこと
−サロン勤めの美容師が、お客さまとプライベートサロンかのような深いつながりを築くには何が必要でしょうか?
「相手のことを思って正直にやる」ということですね。接客の基本はもちろんのこと、お客さまも髪の毛も100人いれば100通りなので、こちらも100通りの考え方を持たなきゃいけないし、その人ごとに合わせながらも胡麻はすらない。プロフェッショナルとして、ちゃんと相手のこと考えた上で、「自信を持ってこれはいい」「これはできない」と言ってあげることが大事です。
お客さまに対して適切に合わせていくのと、相手に気に入られようと合わせるのでは、似ているようで違うんですよね。自分の都合で取りかからず、きちんとお客さまとのプロセスを踏んだ上で、仕事に入る。そこをうやむやにしないようにすることが必要だと思います。
−ご自身のそういった価値観に影響を与えた方はいますか?
具体的に誰というのはいないんですが、どんな人にも必ずいいところやダメなところがあるので、先輩、同期、後輩などいろんな人を見ます。そのなかであまり見習いたくないところは反面教師として捉えつつ、「あの人の物腰の柔らかさは素晴らしいな」とか、「あの明るさはいいな」っていういいところを抽出して、自分に身につけるようにしています。