月売り上げ30万から社内最速マネージャーに! 起死回生の「倍速人生」第3回TONI&GUY村田 勝利(むらた しょうり)さん
超スピードデビューするも、集客できない暗黒時代があった
――TONI&GUYに入社してからは、どんなことを目標にアシスタント時期を過ごされましたか?
最速デビューです。アシスタントの場合、目先で実現できる目標は限られているので、僕は最速デビューに目標を絞りました。
TONI&GUYのカリキュラムはカットの工程だけで19ステップあり、1mmの誤差でも許されない厳しいものです。ただ、先輩は教えるのがとてもうまいので、ちゃんとそのとおり実践すれば受かる仕組みになっています。社内で最速スタイリストデビューが1年半と聞いていたので、1年5か月を目標に掲げていたのですが、結果的には1年10か月かかりました。僕にとっては大きな挫折でした。
加えて、最速デビューを目標にしていたために、集客力がまったくないことに気づき、どん底の時期を過ごすことになりました。
――どのように売り上げを上げていったのでしょうか?
デビュー当初は月の売り上げが20万円くらいしかなかったんです。顧客ハントして名刺を配りまくっていましたが、来店してくれるのは声をかけた人の2%程度。それでもなんとか人の目に留まるようにと、四つ葉のクローバーをネイル用のトップコートで名刺に貼って記憶に残る工夫をしていたりしました。
でも、結局ハントだけでは売り上げを伸ばしきることはできず、それまでなんとなくやっていたSNSを集客のツールにしようと、作戦を切り替えることにしました。
自分のエゴは捨てて、世間から求められるスタイル作りに注力
――SNSでは、具体的にどのようなことを発信したのでしょう?
まずは、流行っているスタイルをひたすら研究、そしてマネしました。それまでは、自分の作りたいスタイルばかりに注力していたのですが、自分のやりたいことは一旦置いておいて、世間で求められているようなスタイルを作ることにしたんです。その中で、自分の技術を最大限に生かせるショートヘアを打ち出そうと決めました。
加えて、僕は他の美容師さんがあまり言わないことをあえて発信するようにしたんです。例えば、ショートヘアが苦手な美容師さんは、「襟足が浮くから長く重めに切っておきますね」と言いがちなのですが、僕の場合は、逆の「襟足は短く軽くしましょう」と言うんです。これは、その方がきれいに仕上がるし、持ちもいいと確信しているから提案できることです。
他には、ショートヘアのスタイリング動画を上げるようになると、1日1000人フォロワーが増えた時期もありました。
売り上げが伸び始めたのは、Instagramを初めて3か月目くらいの頃です。その後、新規の来店が200人を超えるようになり、今ではリピートのお客さまの売り上げが新規を上回るようになりました。来店のきっかけはSNSでしたが、確かな技術を提供できたことが、固定客増加に繋がったんだと思います。
――現在は、ディレクターであり、SNSマネージャーも務めていらっしゃいますが、これは、社内では最年少と聞きました。なぜ抜擢されたのだと思いますか?
社内ではまだあまり積極的にSNSに取り組んでいるスタイリストがいないので、ノウハウを伝えられるからだと思います。僕自身だけではなく、他のスタッフも集客できるようにするのが役割です。社内にはもちろん自分よりキャリアや年齢が上のスタッフもいるので、最初は戸惑いましたが、指導する際ははっきり言うようにしています。内心ビビりまくってはいますが(笑)。