【美容師&ブライダルヘアメイク野口忍の勝算】激変するブライダル業界に二刀流で挑み、新婚夫婦が顧客化する仕組みとは

 

新婚夫婦に長期スパンでヘアメニューを提供

 

——一般的にブライダルビジネスは、リピートしずらいと言われています。でも野口さんは、式が終わった後もサロンに新郎新婦が来てくれて、クライアントとの関係が継続しているそうですね。

 

そうなんですよ。多い時で新郎新婦さまだけで150名近くのお客さまがご来店いただけています。花嫁さまがインスタで紹介してくださったりするので、その影響もあってサロンの集客は順調ですね。僕がサロンワークの拠点としているGO TODAYは原宿の駅前で立地もいいですし、お店の雰囲気もいいので、お客さまも喜んでくれます。以前、地方の結婚式でヘアメイクを担当させてもらった花嫁さまが、サロンに来られたこともありました。東京出張のタイミングに合わせて予約を入れてくれることもあるので、ありがたいですね。




ブライダルヘアメイクは本来ならリハーサルと本番しか担当できないですが、僕は式の当日をより美しい状態で迎えることができるようにサポートしていて、それをインスタで発信しているので、式の半年前から相談のDMがくるんです。これは今までになかったアプローチなんじゃないかな、と思っています。新型コロナが出たばかりのときには全国的に結婚式が延期になりましたが、その期間は前撮りが人気でした。式が1年先になった方が多かったので、その期間もメンテナンスで通い続けてくれて。コロナ禍でも収益は下がらなかったんですよ。

 

おかげさまでサロンワークのリピートも増えて、最近は土日もいい感じでサロンの予約も入っていました。しだいに僕だけで出張ヘアメイクを賄えなくなったこともあり、チームとして活動するように。4年前、都内にアトリエも作りました。メイクはもちろん、着付けができる独立スペースと、衣装の小物などを置ける場所を作っています。あとはセルフ撮影ができるスタジオも併設していて、新郎新婦がリーズナブルに撮影できるようにしています。ポージング指導もしているんですよ。


新婦だけでなく、新郎のヘアメイクにも臨機応変に対応している

 

ブライダルは大切なライフイベントなので緊張感もありますし、失敗できないというプレッシャーもあります。でも、人生のハレの日を一緒に体感できる”ライブ感”が最大の魅力だと思っていて。これはサロンワークでは経験できないですし、なんともいえない高揚感があります。ときには一緒に感動して涙してしまうことも。お客さまの大切な日をサポートできていることに、すごく充実感を感じています。

 

これから挑戦してみたいことはたくさんあるんですが、ひとつは新郎新婦のお母さまのサービス。家族全員を美しくできたらなと思っています。あとは、結婚式場も作ろうと思っているんですよ。クリエイティブで、最先端な式場を。AIだけでできる式場とか、ご祝儀だけでめちゃくちゃおしゃれにできるとか、いろんなアイデアを考えています。楽しみにしていてください(笑)。


プロフィール
野口 忍(のぐちしのぶ)/ATREN DEU(アトレンド)代表
茨城県出身。東京美容専門学校卒業。都内のサロンやヘアメイクサロン勤務を経て独立し、出張専門のブライダルヘアメイク事業『ATREN DEU WEDDING』を立ち上げる。ブライダルヘアメイク事業に注力しながら、シェアサロン内で美容室を運営してサロンワークも行う二刀流美容師。
インスタグラム@shinobunbunmaru_atren_deu
http://atren-deu-wedding.com


(文/織田みゆき 撮影/松林真幸)

 

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