「美容師の技術で世界の貧困をなくしたい」アトリエマイ代表が語る社会貢献の可能性
美容業界の発展に向けて、美容師の社会的地位向上が叫ばれる昨今。東京都を中心に関東圏で数多くのサロンを展開する株式会社アトリエマイ代表の中橋康長さんは、社会貢献活動というアプローチを通してそれを実現し、各メディアからの注目を集めています。
そこで今回は、具体的な活動内容や活動を始めたきっかけ、今後の展開について、中橋さんに伺います。
孤児たちに手に職を持つことの素晴らしさを知ってもらいたい
-まず、中橋さんを始め、サロン一体で取り組んでいる社会貢献活動の内容についてお教えください。
私たちの社会貢献活動のメインは、毎年2回ほど、8人程度の美容師でベトナム・ホーチミン市の孤児院「クェホン慈善センター」を訪れて行う、ヘアカットのボランティアです。
①孤児院の子供達に日本流の繊細なカット技術を体感してもらい、手に職を持つことの素晴らしさを知ってもらうこと
②苦しい家庭環境で育った子どもたちに少しでも愛情をあたえること
③日本人と接することで日本への興味や好感を抱いてもらうことで、日本とベトナムの距離を縮めること
の3つを活動目的として、300人の孤児たちへのカットのほか、一緒に遊んだり、小さな子供たちに食事を食べさせたりといった活動を行っています。
-孤児院でのボランティアカットはどのような想いで始めたのでしょうか。
あるとき、観光でベトナムを訪れたのですが、夜中の23時ぐらいに小学校3、4年生くらいの子どもたちが物売りをしているのを見かけたんです。こうした子どもたちはベトナム全体で15万人もいるのですが、そんな現状を知って、まず、「美容師の技術で世界の貧困をなくしたい」と思ったんです。
でも実際のベトナムの現状はより深刻で、親の経済力がなければ大学にも行けないし、賃金のいい仕事にも就けません。そのため、貧困層の子どもたちは大人になるにつれて、社会格差や、生い立ち、家柄、学歴の違いによる差別を肌で感じ、未来の希望を失い、非行に走るといったケースが高い確率で起きています。
そこで改めて美容師としてできることは何かを考えた結果、ボランディアカットを発案しました。実際にカットを体験してもらうことで、「技術を身につける、手に職をつけるということは、生い立ちや学歴に関係なく立派に自立できる」ということを、子どもたちに知ってもらいたいと思ったんです。
実際に活動を始めてからは、人懐っこい子どもたちが私たちのことを覚えてくれていて、訪れるたびに笑顔で集まってくれます。
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