「共同経営はメリットが多いと感じています」ananda青木享輔さんと北村征喜さんが明かす共同経営のススメ
エンジンが二つあるから片方になにかがあってもお店は動いて行ける
-共同経営をする上で、お二人で決めたルールはありますか?
青木・北村「ないです(笑)」
青木「まあ、お互いの領域を犯さないようにするというのは、暗黙の了解ではあるよね。相談はするけど、やることに口出しはしないというか」
北村「『変にルールを決めない』ことが大切だと思うんですよ。ルールを決めてしまうと、ルールに合わないことをやりたくなったときに、必ず衝突する。言い方は乱暴ですけど『やりたいならやれば?』というスタンスも大事かなと」
青木「僕たちは共同経営だけど、一人ひとりが個々に動いている部分もあるんですよ」
北村「二つのエンジンがあると言うとわかりやすいかも。ひとつのエンジンで車(=お店)を動かしていると、エンジンにもし問題が起きたら、車は動けない。でも、エンジンが二つあるなら、片方のエンジンが壊れてしまっても車は動かせる」
-なるほど。共同経営にデメリットを感じたことは?
青木「それもないかなあ」
北村「強いて言えば、アクションを起こすのが遅くなるというのはあるかもしれませんね。いったん」
青木「突っ走らなくてすむからそれもメリットでもあるけどね(笑)」
-お二人のお話を聞いていると、美容師というよりも経営者の顔の方が強いのかなという印象を受けるのですが。
青木「美容師と経営者、どんなバランスでやっていくのがいいのか。難しいところですよね。プレイヤー(美容師)思考に寄って投資しすぎると還元が少なくなるし、だからといってあまりにも経営のことばかりを考えていたら、お客さまをないがしろにすることになる。だから半々ではなくダブル、二刀流で考えていかなければいけないんじゃないかと思っています」
-オープンして5年。そろそろ落ち着いてきた頃だと思いますが。
北村「そうですね。だからこそ、次のステップに行くためのアクションを起こさないといけない。それで、今年からSNSに力をいれたり、ネット広告を打ったり、メディアに露出する機会を増やすことにしました」
青木「僕が今年提案したのは、“個人ミート”。二ヶ月に一回、スタッフと1対1で話す機会を作りました。全体ミーティングでは聞けなかった本音が出てきたりするので、手応えがありました」
北村「スタッフが長く働きたいと思う環境作りは、経営者にとって大切な仕事。青木はそういうところを考えるのがうまいですね」
-将来のananda像について、どのように考えていますか?
北村「近々の目標としては、平日もお客さまでお店をパンパンにすること。長期的なことでは…青木、どうする(笑)? 」
青木「まだ二人で話し合えてないですね。これは僕の考えですけど、店の規模をもっと大きくしたいというのはあります。簡単なことではないですけど」
-最後に、共同経営を考えている人にアドバイスをお願いします。
青木「まず僕は、共同経営はメリットの方が多いと感じています。どこまでの規模の店を作るかによって変わると思いますが、二人で小さな店をやるなら、とにかく仲のいいヤツ、気の合うやつと組めばいい。でも店を大きくしていきたいなら、得意分野が違う人間を選ぶほうがいいと思います。二人の力で仕事を進めて行けるので効率的です。目指すゴールが同じ美容師同士であれば、うまくやっていけると思いますよ」
北村「先ほど申し上げたようにルールを作らないといいと思います。二人でやっているけど、一人一人が独立している。それと二人とも同じ考えを持っていないと方がいいと思いますよ。あまりに二人の意見が統一されてしまうと息苦しいですから。意見に幅があった方がいい」
- プロフィール
-
ananda
共同オーナー・サロンディレクター/青木 享輔(あおき きょうすけ)
“憧れていた美容師さんに近づきたくて”美容師を目指し、18歳のとき、出身地・長野の美容室「ALPHA」に入社。働きながら通信過程で学び、免許を取得。2000年、「ALPHA」の東京進出と同時に上京。「ananda」では内部マネージメントとサービス企画を担当。
- プロフィール
-
ananda
共同オーナー・クリエイティブディレクター/北村 征喜(きたむら まさき)
“シザーケースに憧れて”美容専門学校に入学。19歳で「ALPHA」に入社し、青木さんと出会う。入社5年目に上京。1年先に上京していた青木さんとともに、ツートップで活躍する。「ananda」ではプランニングと広報、宣伝などといったフロントマン的役割を担っている。
(取材・文/酒井美絵子 撮影/久保田明)
- 1 2