4回目の正直で念願のスタイリストデビューへ! ALBUM金内 柊真のデビュー秘話。 【前編】
試験に落ち続けた3回。なぜ受からなかった?
―4回目の試験で見事合格! 実は1回目の試験にQJナビDAILY編集部で密着させていただいたので。感慨深いです。
1回目の試験は緊張しすぎてほとんど覚えていないですね。
実は絶対合格すると意気込んでいた反面、「このままスタイリストになっていいのだろうか」という不安も抱えていました。
練習はしたつもりだけど、足りていないかもしれない……。そんな気持ちで受けていました。
―手が震えていたのは印象的でした。
4回の試験、全部手が震えちゃって。練習のときは震えないんですけど、やっぱり試験となると違うんですよね。これまでに味わったことがない緊張感でした。
―1回目落ちた後、100人カットが課題になりましたね。
モデルカットとはいえ、モデルになってくれた人、ひとりひとりに「切ってもらってよかった」と思ってほしかったので、丁寧にやっていたら2ヶ月半くらいかかってしまいました。
切っても切っても上達している感覚はなかったのですが、先輩たちからは「よくなっている」と言ってもらっていました。
銀座店の店長の伊藤さんからは、「(上達してないように見えるのは)自分の目の質が上がってるからだよ」と言われましたね。
―でも2回目も残念ながら、不合格…。
そのときは、センスがないのかなって本当に落ち込みました。
100人カットで心底練習した分、ショックすぎて。メンタルがぐっちゃぐちゃになりましたし。
―敗因は分かっているんですか?
ALBUMの試験基準は、5cm以上切ってレイヤーを入れること。その基準をクリアしていればヘアスタイルは何でもOKなんです。
それで1回目と2回目はミディアムで勝負したんですが、1回目は提案したイメージより切りすぎ、2回目は1回目の失敗を踏まえて残しすぎたら、時間ギリギリで切りなおしをしなくちゃいけなくなって。それで焦ってクオリティが下がってしまい…。
―試験官を勤めたディレクター陣から何かアドバイスはありましたか?
NOBUさんからは、「次はショートで試験受けろ」と。
ショートの方がカットラインのアラがすぐにわかるから、自分の弱点が掴みやすいし、改善点が分かりやすい。
そのアドバイス通り、3回目はショートで挑むことにしました。
―でも受からない……。
合格の項目である、カット後のヘアスタイリングと世界観は合格ラインでした。あとはカット技術だけ。
生えグセが難しかったのと、ショートに必要な攻めが甘かったんです。
―そのときのアドバイスは?
NOBUさんからは「えり足!」とひたすら言われ続けました(笑)。えり足の長さや横から見たくびれラインが大事になるショート。モデルさんに似合わせられるか大事なんです。
―4回目はえり足を攻めて?
めっちゃえり足切りました(笑)。僕は試験監督のディレクター陣にアシスタントとして付いていたので、みんなが教えてくれた技術を全部盛り込んで、今できることをやり切って終えました。
ようやく合格できたときは本当に嬉しかったけど、2年でデビューをするのがALBUMのカリキュラムの狙いなので、8ヶ月もすぎてしまって。ディレクター陣に謝りました。
―正直、金内さんは知名度もあるし、1回目で合格させようと思えばさせられたと思いますが、4回もテストを受けさせているのは、サロンとして誠実だと思いました。
僕は元々のバックボーンがありますが、ALBUMで言えば、僕よりもフォロワーの多いスタイリストもいますからね。その辺りは厳しくしてもらって本当にありがたいと思っています。
2~3回目落ちたときは本当にショックだったけど、でも自分が悪い。それにしつこく練習を見てもらったり、怒ってくれたり、優しくしてくれたり、何も言わないけど場の空気を楽しくしてくれたり。
本当に先輩たちには支えてもらいました。すごく感謝しています。
- プロフィール
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ALBUM 銀座店
トップスタイリスト・副店長/金内 柊真(かねうち とうま)
東京総合美容専門学校卒業。2017年、『ALBUM』に新卒第1期生として入社。アシスタントながら2018年8月に『才能が無ければその分努力すればいい』(KADOKAWA)を上梓。2019年11月にスタイリストデビュー。1ヶ月後の12月にALBUM銀座店の副店長就任と、話題に事欠かない次世代美容師。フェミニン感のあるスタイルが得意。
(取材/高橋 優璃・撮影/菊池 麻美)