どんな環境でも結果を出してきた「歴代最速男」の思考回路 -i.山内大成さん U29次世代美容師-

自立するために働きながら免許を取れるサロンに就職

 

 

高校卒業後は家の都合もあり、すぐに就職すると決めていました。年齢関係なく実力に応じて活躍できる美容師をしたいと思ったのですが、専門学校に行く余裕もなかったため、働きながら免許を取ることができるサロンを探すことに。そのときに見つけたのが、愛知県に本社を置くサロンです。

 

僕は岐阜県の店舗に配属されました。同期に背が高くてイケメンがいたんですが、どう考えても贔屓されていて、同じ失敗をしても僕は叱られるのに、彼は叱られないというようなことがありました。彼が練習をしている姿はほぼ見たことがないのに、カリキュラムの進捗が僕より速かったりして、悔しかった。だから、朝誰もいない時間から練習し、営業後も誰よりも遅くまで残って練習していましたね。そして、1年目から3年目までのスタッフを全員追い抜き、22歳でスタイリストデビュー。その会社では異例の速さでした。

 

 

ところが、デビューして半年くらいしたときに事件が起こったんです。僕のシザーがごっそり盗まれました。被害金額を合計すると100万円くらい。そのころの給料は15万円から20万円くらい。とてもじゃないけれど同じシザーを買えません。空腹をうまい棒でしのいで、入学金や学費を払って、ようやく買ったシザーだったんです。もう僕には何も残っていないし、「神様が美容師を辞めろって言っているのかな」と思って一度、美容師を辞めることにしました。

 

「とんそくって何者だよ!?」コンテスト会場をざわつかせる

 

 

お金もなかったので昼は力仕事や派遣をして、夜はバーで働いたり、ホストをしたり…DJをしたこともありました。美容師だけじゃ世界が狭いから、もっといろいろなことを学びたかったんです。そして、趣味で髪を切るような感覚でしたね。そんな生活を1年ほど続けていたら、あるとき美容師のお客さんから「誰か働ける人はいない?」と聞かれたんです。すかさず僕は「行きます!」と返事。そろそろ美容師をしたいと思っていたタイミングだったんですよ。貯めたお金でシザーを買って、再び美容師になりました。

 

その後、メーカー主催のヘアコンテストで結果を出し続けたことで、僕のニックネームの「とんそく」という名前が表に出るように。40代の有名美容師に並んで、20代前半の僕が表彰されるのは珍しいことでしたし、しかも「とんそく」という名前で出ているから「とんそくって何者だよ!?」と会場がざわついていました。

 

ちなみに「とんそく」の由来は豚足です。仲間と写真を撮るときにダサいポーズをしたくて、いつも手を豚足みたいなかたちにして映っていたら「とんそく」というあだ名になってしまいました。それをそのまま使っていたんですよ。

 

 

これは今も変わっていないんですが、僕はフランスで活躍する夢があるので、その気持ちをサロンに伝えて辞めようと思っていました。そして、ちょうど働き始めて1年くらいしたときに「辞めたいです」と伝えたんです。その日か、その次の日かに最初に働いたサロンの先輩から連絡がきて「少し話さないか」と。で、実際に会って話したら「GARDENで一番売り上げている人のアシスタントをしないか」と誘われたんです。「これも運命かな」と感じたので、入ることにしました。

 

>某有名サロン歴代最速でトップスタイリストへ

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