「10年前新卒だった僕・私へ」 Vol.3 形のない美容室 吉田諭史
3月といえば卒業シーズン。そして新たなステージへ向けて、希望に胸膨らませている学生も多い時期。現在活躍されている美容師の皆さまも、お客さまや新卒の学生と話していると、ほんのり甘酸っぱい新卒の頃の記憶がよみがえる人も多いのでは?
そこで、現在美容師歴10周年の美容師さんに10年間を振り返ってもらい、10年前の自分へ手紙を書いていただきました。
第三回目は形のない美容室 吉田諭史さん。
- プロフィール
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形のない美容室 吉田諭史
広島県出身。30歳。福岡のサロンに入社後、二年目でジーナカーンのヘアカラーを学びに渡米。その後8年間勤務したサロンを退社し、2015年からハサミを片手に世界放浪の旅へ。25か国を巡り2016年に帰国。2016年8月から福岡市中央区大名にkatachi-no-naiをオープン。各地で講演会やデモンストレーションを行う。
まずは新卒時代の3つのQ&Aにお答えいただきました。
Q1.新卒時代に一番やってしまった失敗体験とその乗り越え方
仕事を覚えるのに必死で、お客さまへの気配りができていなかったこと。それを先輩に指摘され仕事をさせてもらえないことがありました。
「もう帰っていいよ」という言葉を言われたとき、自分のプロ意識のなさを実感しました。その時、積極的に仕事を見つけて動く。そしてお客さまへの気配りを初めて一番に意識できました。悔しいからこそ、向かって行きました。
Q2.新卒時代に体験した、一番うれしかったこと
お客さまに名前を覚えて頂いた時
Q3.新卒時代に想像していた10年後の自分になれていますか?
新卒のときは、漠然といつかお店を自分で構えるんだろうなと、これからの美容師人生を想像していました。
それから数年感はとにかく目の前のことで精一杯でした。6年目の時やっと余裕ができたのか、自分のやりたい美容と向き合えました。
つい先日までヘアカットをしながら世界を旅して、言葉が通じない環境の中、ヘアカットという手段で、現地の人とコミュニケーションをとり、お互い笑顔になる。という大きな経験と出会いをもとに、昨年自分でサロンを構えることができました。
次の目標は2つ。
1.お客さまの美容室に対する概念を新しくすること
2.同じ志をもったスタッフと協力して、店舗拡張すること
10年前 新卒だった僕へ
「焦らなくても大丈夫」期待と不安で一杯でしょうが、
あなたの選んだ道の先には大きな未来が待っています。
アシスタント1年目の終り、サロンのオーナーにしたお願いを
覚えていますか?「アメリカでヘアカラーを学びたい」
「長期のお休みをください」やっとヘアカラーの基礎
を習得したばかりでした。オーナーからの返事は
「まだ早い。もっと技術も知識も蓄えてからにしなさい」
そこで初めて自分自身の評価や現状を受けとめました。
それから1年後…。あなたはアメリカにいます。
同期のアシスタントたちがスタイリストになっていく中、
焦りを感じた時もあります。しかしこの時期があったから
学ぶ姿勢と考え方の柔軟さを得て、自信を持ち
スタイリストになれました。現在の僕を想像していましたか。
ハサミ片手に世界各国でヘアカットして旅をしました。
そこで多くの出愛があり、自分の固定概念を
すこしすてることができました。そして今現在…あなたは
「カタチのない」をテーマにした自分のサロンに立っています。
とにかくチャレンジあるのみ‼ Catch the moment….
(取材・文・撮影/高橋 優璃)