元美容師だからこそできるビジネスがある。「hairstudy」代表・鎌田さんの美容人生とは?
一流スタイリストたちのカット技術を、いつでもどこでも動画から学べる、美容師必見のサービス「hairstudy」。海外サロンを含め3000人・1500軒以上の美容師・サロンに利用され、美容業界に新風を吹き込んでいます。その代表の鎌田健一さんは、実は元美容師。さらには、美容メーカー「NAKANO」の元営業マンという異色の経歴を持つ人物。「美容師はやりがいのある素晴らしい仕事」と鎌田さんは熱く語りますが、ではなぜ美容師ではなく今の仕事に至ったのでしょうか。その理由を紐解くべくお話を伺いました。
「とにかく現場から離れたい」。美容師3年目でぶつかった壁
-もともと美容師をされていたんですよね?
「はい、3年間都内のヘアサロンに勤めていました」
-3年ともなれば、そろそろスタイリストデビューも見えてくる頃ですが、なぜそのタイミングで辞めようと思ったんですか?
「今思い返せば、自分に負けたとしか言いようがないですね。親に仕送りをもらいつつ働いているのも嫌だったし、技術的な面でも自分の限度が見えたというか。大きなきっかけがあったわけじゃなく、そういう小さなことの積み重ねで直感に従って辞めたという感じでした。誰しも3ヶ月なり半年なり、そうやってつまづく時期があると思うんですけど、僕の場合は3年目で耐えられなくなった。と」
-その後、美容メーカーのNAKANOに就職されますが、美容師を辞める時点でその仕事は視野にあったのでしょうか?
「というより、美容師の世界しか知らないから、そこから職を探すと必然と“美容メーカー”という道になったという感じですね。辞めたときはとにかく現場を離れたいという一心で、それなら美容師を応援する側に回ろうと。NAKANOに就職するまでに色々なアルバイトもしましたが、美容業界以外の仕事への興味は不思議と沸かなかったんです。やっぱり、美容の仕事が好きっていうのが根本にあったんでしょうね」
-美容メーカーでの具体的な業務内容を教えてください。
「代理店営業ですね。代理店に営業に行って、そこのディーラーさんとサロンをまわって商品の説明をしたり…という仕事内容です。もう少し具体的に言うと、サロンの営業中に商品の説明をしたり、営業後にスタッフへプレゼンをして具体的に商品を体感していただき、導入を図る。もしくはサロンの教育計画や営業戦略を代理店と3社で考えたりする。要するにサロンの繁栄をお手伝いする仕事です」
-施術しながらプレゼンできるというのは、元美容師の強みでもありますよね。
「そこは大きかったですね。施術もそうですが、美容師の視点に立って疑問とか要望を理解したうえで説明できるという点も、元美容師だからできたことだと思います。でも、売上を上げるとか人のために尽くすとか、そのあたりは今思えば意識が足りなかった部分かもしれないですね。これは元美容師だからというより、人間性の問題かもしれませんが(笑)。自分は美容師だったから絶対負けないっていう変なプライドがあったんですよね。自己中心で働いていたから、NAKANOという企業のことなんかおかまいなしで。付き合いも悪くて、飲み会の二次会も全く行かなかった。そんなだから、7年働いたけど結局ぱっとしない営業マンで終わっちゃいました(笑)」
-7年も続けた美容メーカーの営業を辞めた理由とは?
「やっぱり独立したかったんです。サラリーマンになってみて収入は安定してきたけど、組織に馴染んでないという自覚もあって。自分はもっと直でサロンと付き合って営業できると思っていたのが、実際はディーラーさんに営業して売ってもらうのがメインで、そのギャップが自分の中で『なんか違うな』という気持ちを生んでいたんです。そうした内なるモヤモヤが大きくなって辞めよう! と決意しました」