「バカ美容師でもわかる!」と挑発的にカラー技術を披露するTETE筒井隆由 本人に直撃取材したら超破天荒な経歴の持ち主だった
InstagramやTikTokで話題の「バカ美容師でもわかる!」の投稿が話題となっているTETE筒井隆由(つつい たかよし)さん。どのメーカーの薬剤にも対応するカラーのつくり方や、カラーに自信がある美容師でも敬遠する「黒染め剝がし」など、超高度な技術をリズミカルな関西弁に落とし込み、短尺で見事に伝えています。実はこの筒井さん、カラーが上手いだけではなく、超破天荒なキャリアを歩んできた逸材でした。筒井さんはどんな美容師さんなのか? 至高のブリーチ技術をどのようにして培ったのかをじっくりと伺いました。
日本で勝てる自信がないから海外へ逃げた
僕が美容師になったきっかけはカリスマ美容師への憧れでした。でも専門学校卒業後に働いたのは大阪にある地域密着型の美容室。地元のお客さんのお役に立つことはできても、カリスマ美容師になることや経済的成功をおさめるのはちょっと難しいと思っていたんです。
美容師になって7年くらい経つと、周りの友だちが独立したりして自分だけ取り残されている気分になりました。「成功してお金持ちになりたい」という気持ちは人一倍強かったので、「自信も何もない自分が成功する方法」を考えていたんです。そうして出した結論は「イチかバチか海外に行く」でした。当時はまだ海外で活躍する日本人美容師は少数でしたし、競争相手が少ない中だったら「自信がない自分も勝てるかもしれない」と思ったんです。
とはいえ、言葉もしゃべれないし、海外に行くためのお金もツテもない。そこで、人脈形成のために、梅田のリッツカールトンで開催される異業種交流会に参加して、自分を売り込むことにしました。自己流の拙いプレゼンシートを持って、「海外で活躍したいので誰か紹介してください」と話しかけていましたね。バカにするような人もいれば、優しく話を聞いてくれる人も。プレゼンシートに対するダメだしは素直に受け取って、その日のうちに修正してブラッシュアップしました。
40万円を握りしめて上海へ!案内されたのは夜逃げ後の美容室
努力の甲斐があって異業種交流会で出会った美容整形外科の方からの依頼で、上海に行くことに。「明日からでも行きます」くらいに話していたのですが、本当に2週間後に上海入りすることになりました。ちなみに、その当時の貯金はわずか40万円。知っている言葉はニーハオ(你好)とシェイシェイ(謝謝)だけ。中国語も英語も満足に話せない状態で飛び込んだんです。ミッションは、美容サロンの立ち上げでした。
案内された物件は、名刺や薬剤が床に散らばった状態で、もうぐちゃぐちゃ。どうやら、日本人美容師が経営していたけれど資金繰りに行き詰まり、夜逃げした後だったんです。その状態からお店をオープンさせなくてはいけなくて、最初は途方にくれました。
でも、「なんでもやります!」と大風呂敷を広げて上海に来た以上、止まっていられないので、ひとまず落ちていた名刺に片っ端から電話で連絡したんです。必ず仕事に関係のある人の名刺だと思ったので。ただ、中国語が話せないので、日本語で対応してくれる人が出てくるまで電話しまくりました。その中の一つに、ミルボンのアジアグローバルの社長の名刺があったんです。そこから、上海にきた経緯を説明したところ、いろんな方とつないでいただいて、2週間後にはなんとか5、6人のメンバーでサロンをスタート。当時の記憶が残っていないくらい、超絶怒涛の毎日が始まりました。
>家賃600万円と社長のプレッシャー…売上を上げるために導き出した結論