仕事に手がつかず破滅寸前!? 業界最高峰カラーリストがハマった沼の話 -stair:case 中村太輔の習慣 前編-
日本にまだ「カラーリスト」という言葉が浸透していない時代から、20年以上もカラーリストとして最前線を走り続けてきたstair:case(ステアケース) 中村 太輔(なかむらだいすけ)さん。試行錯誤しながら、日本にヘアカラー文化を根付かせた経歴を持ち、普通とは違う道を選び続けてきた人物だけに、その趣味や習慣にも独特の哲学があります。今回はそんな中村さんの習慣に迫ります。インタビューは前編・後編の2回、まずは前編からどうぞ!
オンラインゲームと自転車で人生破滅しかける
僕は趣味を持つと破滅に向かう人間なので、あえて持たないようにしています。何かにハマると全て放り出して、全集中してしまうんですよ。たとえば、昔こっそりやっていたオンラインゲームのプレイ時間は数千時間。仕事が終わってから朝までやっていたし、仕事中も隙あらばバックヤードでプレイしていました。表には見せないようにしていましたけれど、頭の中はゲーム一色でお客さまとの話も上の空。これはやばいと思って止めました。
次にハマったのは自転車。ネットサーフィンをしているときに、たまたま自転車をカスタムしてカッコ良さを競うコンテストを見たんです。「なにこれめちゃくちゃカッコいい!」と思って、気が付いたらネットで自転車を物色していました。
パンクも直せない男だったんですけど、買った自転車が届いた瞬間、「全部ばらしてみよう」とワクワクしながら思ったんですね。もう、頭の中は自転車でいっぱい。
自分でもダメだと思うんですが、「このパーツはどうやってくっつけるのかな」とか、仕事中もそんなことばっかり考えているから、お客さまと全然話さないこともありました。
わずか10分でも時間があいたら、駐輪場に自転車を見に行き、職場に戻るときには手がチェーンの油まみれ。そんな生活を1年くらい続けました。
初めて出場した自転車のコンテストではなんと優勝。翌年のコンテストでは2位でした。
「このまま自転車屋になろうかな」と本気で考えたこともありました。でも、カスタム自転車の需要はそんなに大きくないし、「このまま行ったら破滅する」と我に返って、自転車を全部売っておしまいにしたんです。
中村さんがカスタムした自転車(写真上がグランプリ、下が2位になったもの)