レジェンド美容師の愛弟子&ショートのカリスマが胸に刻んだ言葉 unplugged紺野善仙のコトダマ
第一線で活躍する美容師の人生を変えた「恩師の言葉」を紹介する「美容師のコトダマ」。今回は、Instagramで「紺野ショート」を発信して大ブレイクし、持ち前の「似合わせ技術」で、多くの女性を素敵にしているunpluggedの紺野善仙(こんのよしのり)さんです。美容業界のレジェンド故・綾小路竹千代氏に、専属アシスタントとして就いた時にかけられた言葉を含め、美容師としての人格を磨くことにつながったコトダマを紹介します。お客さまにとって価値ある美容師を目指す人にぜひ読んでいただきたいインタビューです。
どん底時代に見えた光明「お前、センスあんじゃん」
僕はもともと話すのが得意じゃないし、美容師がなんとなくカッコよく見えたので、自分もそれほど深く考えず美容専門学校に通ったんですよ。
特別な思い入れがあったわけではありません。どこかで美容師を辞めるときがくるかもしれないな、くらいの気持ちでした。
そんな僕が新卒でカリスマ美容師ブームの火付け役となったサロンに入ってしまったので、かなり周りに圧倒されていたんです。
キラキラした先輩美容師がたくさんいたし、意識が高くて勢いもある同期が30人くらいいました。そんな環境で、女性と話すことにも苦手意識がある自分が、女性と向き合う仕事ができるのか不安でしたね。
同期中でも優秀ではなかったし、寝坊して遅刻することもありました。将来の展望もなく、挫折感ばかりがつのる日々。最初の2、3年は本当にダメで、当時の先輩や同期に僕の話を聞いても、いい話はきっと出てこないと思います。
そんな僕の転機になったのは、アシスタントを含めたサロン全店のスタッフが参加したクリエイティブフォトコンテスト。そこで僕は1位を取ることができたんです。「春、段々と」というテーマで、季節感をヘアに落とし込むことができたのが良かったのかもしれません。
撮影などの仕事で大活躍している先輩スタイリストからも「お前、センスあるじゃん」と声をかけてもらい、初めて自分で自分を認めることができました。それまでは、取り柄なんて一つもないと思っていましたから。あの瞬間から、少しずつ美容師人生が良い方向に変わっていった気がします。
1日20人切る超多忙時代に言われた「怖いです…」
スタイリストになってからの話です。予約サイトやInstagramの投稿がだんだんとヒットし始めて、お客さまが来てくれるようになりました。ちょっと言葉はよくないですが、おばさんぽく見えない、スマートなショートカットが人気になったんですよね。
多い時は1日に20人くらいのお客さまがいらしたのですが、当時の僕はまだデビューして1年くらいだったので実力が伴っていなかったのです。売上も増えるし、嬉しいので、もっともっとと思うのですが、ブレーキが効かなくなっている部分もありました。
1時間に3人くらい切らないととても間に合わないし、お客さまを待たせたくないからいつも焦っていたんですよね。その様子がお客さまにも伝わってしまったのだと思います。
あるお客さまが泣きながら「怖いです…」と言ったんですよ。
今思い出しても悲しくなるくらいショッキングな出来事でした。余裕のない接客をしていたことに気づいて本当に反省しました。それからは自分のキャパシティを見極めて、予約を調整するようになったんです。今も無理のないペースでお客さまと向き合えるよう予約を調整しています。
>似合わせ技術を磨くきっかけ「これからいろんな髪型にするからよろしくね」