耐え抜いた20代前半の経験を糧に、独立とともに岡山の美容組合を設立。 地方業界の貢献に少しでも寄与していくことが目標。【タブロイド版リクエストQJより】
タブロイド版リクエストQJ2022-2023年冬春号がこのほど発行されました。ここでは誌面の一部をご紹介します。
オンライン、オフライン問わずに、全国でZ世代美容師の躍進が目覚ましい。これまでの常識を覆して、これからの業界をリードする彼らの世代はどんな想いで美容師をやっていて、何を目指しているのか。本記事は、その中の1人である、岡山県「空kuu」代表、穐田司樹さんにインタビュー。エリアにとらわれず、全国区で注目され始めた成長の軌跡をレポート！
＜プロフィール＞
空kuu
代表
穐田司樹（あきたかずき）
岡山県出身。岡山理容美容専門学校卒。現在25歳。大阪のサロンに３年間勤めた後、半年ほど別業界を経験し、地元・岡山のサロンで美容師をリスタート。同時に、美容師向けのSNS発信で注目を集め始め、フォロワーは現在2.7万人。2023年1月に同世代のメンバーを集めたサロンを独立出店予定。同時に、岡山の美容組合を設立予定。地方美容業界の成長に貢献していくことをモットーとしている。
Instagram：@KUU_AKITA.0490
Q.一度美容師を辞め、その後復帰しようと思ったきっかけはなんですか？
新卒で大阪のサロンに入社して働いていましたが、3年目の頃に美容師が向いていないと感じて別業種に転職をしました。理由は、ミスが続いて接客に自信が持てなくなっていたことや、働いていた店舗の閉店などが相次ぎ疲れてしまったということ。さらに当時は結婚していて子供もいたので、そんな状態で美容師を続けることを家族は快く思っていませんでした。その後建設業で働き始めたのですが、毎日罵声が飛び交うようなとてもシビアな職場環境で。そこで改めて美容師の仕事の素晴らしさに気づき、地元である岡山で再スタートしようと決めました。
Q.美容師に復帰して岡山に戻り、2年足らずで120万超えの売上をキープできるようになったそうですが、お客さまゼロの状態からどうやって集客を？
日々のサロンワークで新規のお客さまのリピートを上げることはもちろんですが、シンプルにSNSを真剣にやることにしました。当時岡山には1万人以上のフォロワーがいる美容師がいなかったので、当面はそこを目標に。ただスタイルを掲載してもいずれは飽和状態になることが予測できたので、あえて美容師をターゲットに流行を取り入れたカラーレシピや自分の技術を毎日投稿。手応えを感じ始めたのは半年くらい経ってからで、フォロワーは1万人を超え、全国各地の美容師さんから連絡が来るようになりました。一方で、一般のお客さまは専門的な知識が書いてある投稿からちゃんとした美容師だと感じてくれて、集客面でもその戦略は功を奏しました。
Q.来年の独立とともに、岡山に美容組合を立ち上げる予定だと伺いました。その狙いは？
2023年オープン予定の店舗イメージ
現状で10社以上賛同してくれているのですが、老舗サロンから僕たちのような新しいサロンまで幅広く加盟店を増やしていく予定です。狙いは、地方の美容業界の底上げ。そのために美容師と美容師の間のつながりをつくって、互いの得意分野や強みを伝え合い、高め合っていける関係性を築いていきたいと考えています。次に考えているのは、美容学生の就職、就職後のフォロー。現状だと専門学校側は卒業後の学生の情報が手薄で、何をしているかもわからないケースが多いのです。組合のサロンを巻き込んで岡山の業界全体で若い美容師をサポートできる仕組みを作りたいと思っています。この組合と美容学生サポートの流れを広めていって、最終的には免許を取得するだけではない、美容専門学校を立ち上げることが目標です。
Q.25歳でその視座の高さに驚かされますが、モチベーションになっているのは何ですか？
根本は、美容師の仕事が好きだということですね。大阪で働いていた経験から感じるのは、都会と地方の差がまだまだあるということ。組合の活動や学生のサポートを通して少しでもその差をなくして地方の業界を盛り上げることで、エリアにとらわれず美容師を楽しんでくれる人が増えていけばいいですね。独立出店を決めたのも、自分のサロンでのびのび働くスタッフを育てたいと思ったから。こう考えるようになったのは、自分が職場環境に恵まれる機会があまりなかったからかもしれません。働いていたサロンが潰れたり、生活がままならず副業をしていた時期もありました。当時の自分への復讐心じゃないですけど、辛かった思いを糧に、もうそんな辛い経験をする人が減らすべく、業界へ貢献していけたらと考えています。
【タブロイド版リクエストQJより】
（文/リクエストQJ編集部）
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