悩むなら読めばいい! Gallica中村飛鳥さんの美容師の悩みへ「本」の処方箋 Vol.4 【症状:お客さまがつかない!】
本気で美容師をしていれば技術、モチベーション、接客、教育、経営、とさまざまなフェーズでそれぞれの壁にぶち当たるのが必然。そんな数々のつまずきや悩みを「本」で解決してきたのが自他共に認める読書美容師であるGallca(ガリカ)中村飛鳥(なかむら あすか)さん。中村さんは自分が悩むようなことは必ず先人もぶち当たって、解決策を提示していると言います。今悶々と悩んでいる問題を「本」で解決できるならそんなにいいことはありません。そこで!このシリーズでは美容師さんの陥りやすいお悩みに合わせて中村さんに「効く本」を処方していただきます。
今回のお悩みは【お客さまがつかない!】。デビュー後多くの美容師さんが直面する問題。今まさに困っているという方も、お客さまのつかない後輩の手助けをしたい方も、是非チェックしてくださいね。
僕の経営するサロンGallicaの名前の由来は図書館から来ています。それは、私自身が沢山の本を読んで、本のおかげで、自分の人生が良くなったという思いがあるからです。
今でこそお店を経営していますが、美容師になってから独立するまでに沢山の悩みがありました。その時に役にたった本や、当時の自分に紹介したい本を、私の独立するまでのストーリーをまぜつつ、少しづつ紹介していけたらと思います。
前回のお話では、僕自身スタイリストになり目標のため計画を立て、お金についても考え始めました。
同時にスタイリストとして売上を上げたいと思っていました。でもそれがなかなか上手くはいかない。
4回目の今回は、美容師として一番大切で切実な問題です。
第四の悩み:お客さまがつかない!
今でこそ代表として8店舗のマネージメントをしながら月470万の売上を上げられるようになりましたが、初めから上手くいったわけではありません。
デビュー当初はお客さまと上手く喋れず、当然技術もまだまだ。お客さまがなかなかつかず悩んだ時期がありました。
それではどうやって売れるか?
それを考えるときにマーケティングが役に立ちます!
今回の美容師さんへの本の処方箋は…
マーケティングをわかりやすく美容室に落とし込める本
「ドリルを売るには穴を売れ」佐藤 義典 (著・監修) 青春出版社
です。
この本は、うまくいかないレストランを人気店にするために、ウレタ マコという主人公が奮闘していく物語です。
味は美味しいけどもう一度来てくれない。口コミが広がらない。看板メニューがない。そんなお店が変わっていきます。
この本のタイトルにあるように、お客さまはドリルが欲しくて人は来るのではなく、ドリルでしたいことがあるからそれに必要だと思うドリルを買いに来ます。だからこそ、穴の必要性を伝えれば、それを開けるドリルが売れる。つまり、与ることができる価値から考えることが大切なんです。
そこで僕は髪を切ることだけでなく、他の美容師ではなく僕が担当する必要性や価値は何なのかを考えました。
僕自身、接客が苦手で喋れない。ファッションもアイコン的存在でもないし。技術が誰より上手いわけでもない。誰しも通ると思うのですが、最初から特別な人間にはなれません。
でも、お客さまにとっての特別な存在にはなれるんです。
自分は今どんな場所や美容室で働いていて、
どんなお客さまにきて欲しいか、そして何を伝えるか。
そのお客さまが喜んでくれる技術やデザインは何か?
それにあった、自身のファッションや話し方は?
こうやって自分をプロデュースしていきます。
打ち出し方が難しいのは、都心では尖らないと目立たないですし、郊外だと尖りすぎるとお客さまの母数が少なくなる、流行りやコンサバなスタイルは、廃れやすくライバルも多い。
など、いろいろな要素があるから。
だからこそコンセプトを決め、ブレない自分を作っておくことが大切です。
一度作っておけばそれを元にして、修正していくことが出来ます。
なんとなく考えるだけだと、軸がぶれてやりたいことやそのための戦略がチグハグになってしまいます。
SNSや広告サイトでも、インサイトをみることが出来るので、そうした数字を大まかにでも見ておくと、思っていたのと違ったり、思いも寄らない反応があったりするので、チェックしておくのが大切です。
僕の場合は自分の髪質が嫌でそれをなんとかしたくて美容師になりました。
だからその人の悩みに寄り添えたら嬉しいな〜という軸がありました。
だから、接客は楽しくというより、説明をしっかりして、技術やこだわりを
伝えるように、ファッションは安心感を与えるように、綺麗めのブランドにしていきました。
作るスタイルは当時私が働いていたお店のデザインに合わせながら、
外国人のような、ナチュラルな自分の髪を活かしたスタイルに。
将来お店を作り店舗を増やすなら、尖りすぎないような方がいいかなというのも考えていました。
沢山の人に知られていなくても、自分を求めてやってきた、目の前のお客さまの喜びが大切なんです。
売上が大切でも、有名になるのが大切なのではなく。
お客さま、関わる人に喜んでもらう。
その過程を大切にした結果が自分にとって最高のものになってくれることが大切だと思います。
売り上げはまず忘れて、今自分に努力できる部分は何かを考える。
集客をするべき?リピートしてもらう策を考える?
統一されたスタイル写真や、デザインを作る?
自分のファッションや接客スタイル、お客さまへの提案を見直す?
新しい技術を身につける?
その地図になるのが、マーケティングです!
スタイリストになってからは、当時のお店の努力もありますが、自分自身でもマーケティングをもとに集客や自分の打ち出し方を考えていたので、売り上げは高い状態を維持できていました。
自分のスタイルを確立すれば、すべてにおいて一流は難しくても、そのスタイルで一流になれるので、仕事もしやすくなります!
現在は、自分の集客のためだけではなく、お店全体の集客や、求人、教育やお店作りなどなど、色々な部分でこの考え方を使っています。
離職率が低いのも、お店が成長し続けているのも、先を見据えたマーケティングを大切にし、みんなで共有しているからなんです。
何十万件もある美容室。何十万人もいる美容師。
あなたを売るには何を売るか。
今、どうしたらいいかわからない人は是非参考に読んでみてください!
- プロフィール
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Gallica
代表/中村 飛鳥(なかむら あすか)
長崎県出身。ハリウッドワールド専門学校卒業。都内有名サロンを2店舗経験後、2015年27歳でGallicaをオープン。顧客の顔立ちや髪質を最大限生かすヘアスタイルに定評があり、業界内外から注目を集める。サロンブランディングや人材教育にも力を入れ、現在都内7店舗、福岡1店舗。『HOT PEPPER Beauty』”GOLD Prize” 受賞。多くのセミナーの講師としても活躍。
(文/中村飛鳥 撮影/菊池麻美)
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