誰かの“得意”を伸ばせるのは、多くの本に触れたおかげ -SOCO 関山 善博さんの習慣 後編-
エッジの効いたヘアスタイルを提案するスタイリストとしての活躍もさることながら、短期間でサロン展開を続けている経営者としてもリスペクトされているSOCO 関山善博(せきやまよしひろ)さん。美容師やヘアサロン経営者というより、気鋭のスタートアップ企業のトップのような言動が印象的な人物です。そんな関山さんの人間形成に影響を与えた習慣を聞きました。インタビューは前編・後編の2回、今回は後編です。ぜひ前編とあわせてご覧ください!
経営はロジカルとデザインを横断する仕事
本は、ロジカルとデザインを横断するためのツールだと僕は思っています。ロジカルとデザインの中間にあるグラデーションをとらえる、もしくはロジカルとデザインの両方の視点を獲得するために読書は不可欠です。ロジカルで考えられる人は今の世の中にたくさんいると思います。でも、デザインで考えられる人はそんなには多くない。僕がやっているのは、そのロジカルとデザインを横断する作業です。
僕自身は、美容師としての能力は決して高くないと思っています。売上を伸ばせるタイプじゃない。でも、スタッフの能力を引き出して、自分より売れる美容師をつくることはできます。これにはクリエイティブな発想が必要です。働き方をデザインする、人の能力をデザインするという視点を持って取り組んでいます。
これまでの美容業界は、囚われた枠の中で教育が行われてきたと言っていいと思います。僕は、その囚われた教育をぶっ壊す発想でやっているんですよ。
これまで僕たちが受けてきた教育は、強みを伸ばすというより、弱みを徹底的に叩いて叩いて平均より上に引き上げるという感じでした。だから、新しい突き抜けた発想が生まれてこなかった。今、僕がやっている教育は、弱みは一旦置いておいて、強みを発見し、ひたすらそれを伸ばすことです。
モノゴトの良し悪しは状況によって変わる
強みにフォーカスした教育ができるのは、採用の時点で厳選しているからとも言えます。ある本に書いてあったのですが、アメリカで長く続いているいわゆるThe Greatest Companyは、採用時に何を重視しているかというと、「性格」なのだそうです。それを読んで「なるほどな」と。SOCOでも人柄を重視して採用したいので、採用担当にも僕の考えを共有しています。
とはいえ、いろいろな価値観の人間がいるので、スタッフ同士で衝突したり、仕事がうまく進まないことはあります。でも、ブランド力があり、教育が整っている会社でも、問題点は何かしらあると思うんですよね。上下関係がしっかりしているからこそ、上長の確認が必要になるとか。たとえば、撮影の依頼に対して、誰が担当するのか、衣装はどうするのか、いちいちお伺いを立てていたら自主性が損なわれてしまいます。
だから、SOCOのようなフラットな組織も、レイヤーがある組織も、一長一短あります。モノゴトの良し悪しは状況によって変わるものであり、大事なのはそのことを自覚しているかどうか。多様性のある価値観の中で、どう組織運営するか、いかにマネジメントを設計するか、常に考えているんですよ。
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