【vol.3】コロナ対策、融資と助成金を基本の「き」から!(美容師が知っておきたい最新コロナ情報)
イラストレーション/カツヤマケイコ
融資に助成金。美容業界で相談できる資金繰り情報
ライターのさとゆみ(佐藤友美)です。今回はたくさんの美容師さんにご要望をいただきまして、今後の資金調達の参考になる話をまとめました。
今回の内容は「融資や助成金のページをみたけど、ちんぷんかんぷん」という方に対して、まず、基本の基本をお伺いしました。
先立って手を打ってらっしゃる方たちにとっては、すでにご存知の情報が多いかと思いかもしれませんが、よろしければご覧ください。
ご協力いただいたのは、美容業界の顧客が多い、税理士法人西川会計(東京都北区)の西川豪康さんです。
(情報は4月12日現在)
美容師さんから寄せられる質問
西川さんの元には、現在、多くの美容師さんからの相談が寄せられているという。
中でも多いのは、
①休業しなくてはならないのか
②休業した場合の補償や救済制度はないのか
の2点。まずはこれらを整理したい。
4月12日現在、東京都においては、理美容業は自粛要請対象に含まれていない。しかし、実際は営業を自粛して休業しているサロンも増えている状況だ。
一方で、美容業界に休業に対する国や都道府県からの補償があるかどうかは、まだ明確になっていない。全国一律のルールになるかどうかもわからない。
ただし、「美容業に補償があるかどうかとは関係なく、今の時点で受けられる融資や助成金はあるので、確認してほしい」と西川さん。
融資(借り入れるもの)と助成金(もらうもの)、そして補償(現在検討されている最中)はそれぞれ別のもの。全部ごっちゃになっている人もいるようなので、ひとつずつ整理していきたい。
当座資金を確保するため、3つのポイントをチェック!
「まず、最初にやらなくてはいけないのは、当座の資金を手元に確保することです」西川さん。
そのためにも、
①当座の資金にできるものは何かを確認する
②減らせるキャッシュアウトがないかを考える
③今後必要になる資金はいくらなのかを計算する
が必要になるという。
①から説明しよう。当座の資金にできるものは、以下のようなものがありえる。
A)もし会社でかけている生命保険があれば、解約返戻金の範囲で借入できる
B)小規模企業共済に入っていれば、こちらも借入できる
C)中小企業倒産防止共済制度に入っていれば、借入できる
(A、B、Cに関しては解約もできるが、解約による入金が1カ月前後になるのに対して、借入は数日でできる。長期的なお金を銀行から借りられたら返済し、返済できないときは解約する)
D)新規借入を申請する(→あとで詳しく説明します)
E)雇用調整助成金を申請する(→あとで詳しく説明します)
②減らせるキャッシュアウトはないかを考え、各所に連絡・相談する。
A)固定費を削減する
・電気・ガス料金の支払の猶予を受ける(2020年9月までは猶予あり)
・家賃交渉
B)既存借入の返済条件変更を依頼する(返済の猶予・減額)
C)納税の猶予を申請する
・国税の納税猶予申請
・社会保険料の猶予・納付の猶予を受ける
D)正常運転資金の減少
・仕入先の支払期限が月末に集中しないように相談する
E)人件費の削減
・役員報酬を減額する
・週休3日制の導入や一定期間の営業休止を検討する(雇用調整助成金を利用する→あとで詳しく説明します)
F)新規出店を見送りする、またはその計画を見直す
③今後必要となる資金に関しては、資金繰りを考える上でも、融資を申請する際にも必要なので、計算し説明できるようにしておく。
A)1カ月の経費を算出してみて、元手の資金と①の資金でまかなえるかを検討する
人件費、家賃がいくらかかっているのかを算出する。サロンによるが売り上げの半分くらいのところが多い
B)スタッフの雇用と店舗の維持には最低3ヶ月(できれば6カ月)の固定費(人件費+家賃)が必要であると考える
この①と②と③をもとに、資金繰りを考えていく。