採用倍率5倍! 2年連続で『髪セブン』ランクインもした名古屋のサロン「AXIS」が美容学生から圧倒的支持を得る理由とは?
名古屋で4店舗を展開するサロン「AXIS(アクシス)」は、1985年の創業から35年間、東海地域でトップクラスの人気を誇るサロン。集客のみでなく採用でも人気が高く、2020年度も24名の採用枠に約130名の応募があり、採用倍率は約5倍。人材不足が叫ばれる美容業界にあってまさに誰もがうらやむ存在です。
さらに、2017年と2018年には、東海エリアの美容学生が人気サロン&美容師を選ぶ中日美容専門学校と名古屋美容専門学校の特別企画・通称「髪セブン」で、2年連続サロン部門1位に輝き、美容師部門も複数のスタイリストが「髪セブン入り」。サロンが人気なだけでなく、スタイリスト一人ひとりも美容学生の憧れになっています。
なぜ、AXISはサロンとして美容学生からこれほどの人気を誇り、数多くのスターが生まれるのでしょうか? 入社26年目で同サロンの教育部門を統括する沖公男(おき きみお)さんに、優秀な人材を集める、育てるための秘訣をうかがいました。
2020年の倍率は5倍! 名古屋で35年続く人気サロン
「AXIS」は東京の有名サロン出身のオーナー・野々山茂(ののやま しげる)が1985年にオープンした、名古屋でも古株のサロンです。ショートカットを得意とする野々山の技術とデザインセンスの高さで、またたくまに繁盛店となりました。
私が入社したのは創業から約10年後。就職活動をする中で、野々山の「美容師にとって大切なのはお客さまの要望に応えること」という考え方に感銘を受けて、このサロンで働きたい! と強く思ったことを覚えています。
今では、長年積み上げてきたものや、スタッフ一人ひとりのブランディングで、東海地域の美容学生から人気のサロンとして大きく名前が上がるほどになりました。
現在はありがたいことに毎年120〜130名の学生から応募があり、多くの入社希望者の中から厳選して採用しています。2020年の春には24名が入社予定です。
でも、かつては採用にとても苦労したことがあったんですよ。
「うちはスタッフがダサい」若手の発した一言が転機に
採用難を打破することになったターニングポイントが2回あります。
最初のターニングポイントは、2004年前後の私が店長になりたてのころです。お店自体は変わらず繁盛しているのですが、求人をかけても思うような人材が集まりません。
そこで若いアシスタントに思い切って「なぜうちの店は人気がないの?」と尋ねたんです。そうしたら「うちはスタッフがダサいからです」とキッパリ(苦笑)。
お店の忙しさにかまけて、スタイリストをはじめとするスタッフがあまりにも自分の見た目を構わずに過ごしていたんです。その結果、ファッションもセンスも時代遅れになってしまっていたんですよね。
そこで、まずはスタッフが自分自身を見つめ直し、おしゃれをもっと楽しもうと考え、それぞれに“自分改造計画”を行って、センスを磨いていきました。
とはいえ、いきなりアートを学んだり難しい理論を取り入れたりしたわけではありません。まずはモデルや俳優など、どのジャンルの人からでも構わないので、自分の理想像に近い人を見つけ出し、その人たちを模倣することからはじめて、そこに自分らしさを加えていくという方法でした。
美容師は技術が一流なのは当たり前。お客さまから「この美容師さんはどこで服を買って、何をして遊んでいるのだろう?」と、常に興味を持ってもらえる存在であることが大切です。
そのために、自身のセンスを磨いたり発信したりして「自己価値の最大化」をしていこうと、スタッフへは常に伝えています。その意識を店舗全体が持ちはじめてから、徐々にお店の雰囲気も変わってきました。
若いスタッフの一言が自分たちの意識を変えた、これが一度目の転機でした。