MINX池戸さんのアシスタント・白渡千尋は固い頭をほぐして、柔軟に仕事をすることを覚えた人−トップランナーの「神の右腕」Vol.4−
ヘアサロンにとってなくてはならない存在といえば、アシスタント。スタッフがお客さまにじっくりと向き合えるのも、アシスタントのおかげと言っても過言ではありません。
中でも、人気スタイリストの「右腕」とも言えるほどのアシスタントは、誰よりも気が利き、誰よりも動き、そして最高のアシストが必要です。QJナビDAILYでは、そんな「神の右腕」にフォーカス。
第4回目はMINXトップデザイナーの池戸裕二さんのメインアシスタントを務める、白渡千尋(しらわたりちひろ)さんに取材。
すらっと伸びた脚に、メイクもファッションも今どきな女の子の印象。仕事をするうちに気がついたらメイクにも携わるようになっていた…。とちょっとうらやましいエピソードもありますが、息苦しさを感じたり、失敗したりしながら成長している等身大のアシスタント。美容師になりたい女の子が美容師になるまでを素直な気持ちで話してくれました。
お客さまとして対応してもらって入社を決意
―美容師になりたいと思ったのはいつごろですか?
なりたいというか、子どものころから髪型への執着がすごくて。
いちばん古い記憶だと、幼稚園のとき、母に髪の毛をアレンジしてもらってから登園していたのですが、気に入らないといちゃもんをつけて、「幼稚園行かない!」ってただをこねていたそうです(笑)。当時、お気に入りの前髪をキープするために、一週間に一度前髪を切っていたそうで、子どもなのに生意気ですよね(笑)。
小学校・中学校の卒業文集にも「美容師になる」と書いていました。
ん〜だから何がきっかけとか特にないんです。自然と美容師になりたいって思っていました。
―MINXを知ったきっかけは?
美容学校に通っているとき、美容師になりたいとは思っていましたが、憧れの美容師さんとか好きなサロンって特になかったんですよ。有名サロンも片手くらいしか知らない。
就活のこともあって、いろんなサロンには行っていたのですが、通いたいと働きたいがイコールに繋がらなくて。
先生に紹介してもらったサロンの中にあったのがMINXでした。
―はじめて行ったときの印象はどうでしたか。
私、サロン見学に行くときは美容学生と明かして行ってたんです。
そうすると、あからさまに学生への対応になる美容師さんやサロンが多くて。でもMINXは学生でもちゃんとお客さまとして対応してくれたんです。
立て続けに、下に見られるというかナメられた感じの施術が続いていたので、そのきちんとした対応がとても嬉しかったんですよね。
―すぐに心が決まったんですね。
先生に頼んで、実習を受けさせてもらいました。
その実習もとっても感じがよくて、スタッフ同士のコミュニケーションも円滑だし、いいなぁ。って。
そこではじめて通いたい=働きたい、と思えました。
当時の下北沢の店長に、「入社してほしいから、説明会きなよ!」と言ってもらえたんです。
そのときすでに説明会出席の締め切りは過ぎていたんですけど、先生になんとかお願いして滑り込ませてもらいました。
息がつまりそう。カチカチ頭をほぐしてくれたのは撮影だった
―ずっと潜在的に美容師になると思っていたとのことですが、入社してみて最初に思ったことはありますか?
思ったより酷じゃないなぁ、って思いました。意外と頑張れるかも!って。
―やっぱり向いていたんですね。困ったことは特になく?
私、働きはじめて気がついたのが、スーパーマニュアル人間だったんです。柔軟性に欠けているというか。
今もですが、「頭固い!」って言われることがすごく多くて。
私これまですごく適当な人間だと思っていたんですが、全然適当じゃなかった。自分が決めたことやマニュアルから逸脱したり、視点から外れたりすると、すごくイヤなタイプだってことがアシスタントになってから発覚しました。
そういえば昔バイトをしていたとき、マニュアル通りじゃないけれど、要領のいい動きをしている人を見て、「なんで言われた通りにやらないの?」ってよく怒っていたんです。
でも美容師の仕事ってマニュアル通りにいかない仕事ですよね。お客さま一人ひとりに合った技術や接客が求められますから。
要領のいい動きをした方がいいことはわかってるけど、マニュアル通りに動きたい自分がいて。ある一時期は本当に息苦しかったです。
―どうやって乗り越えられたんですか?
先輩に注意されたこともありますが、とある撮影のときですね。
私はこの髪型ならこのポーズでこの角度じゃないと絶対にイヤ!と頭の中でガッチガチに固めた撮影があって。最初はその通りにやってもらっていたんですが、その後、カメラマンさんとモデルさんがあーだこーだ相談して、フリーで動きながら撮影がはじまったんです。
それを見てたら、「あれ、自分で決めた角度よりもこっちの写真の方がいいな」って…。
プライドも大事だけど、任せる気持ちを持っていたら、こんなによくなることがあるんだ、って目から鱗。そこから少しずつ柔軟性を持てるようになりました。