air金丸佳右さんの“一番古い”お客さま ―美容師を辞めて腐っていた時代も知っている気の合う人
第一線で活躍し続ける美容師さんたちに古くからのお客さまをご紹介いただく、シリーズ「一番古いお客さま」。airグループのディレクター、金丸佳右(かねまるけいすけ)さんがご紹介してくださるのは、アシスタント時代に出会った20年来のお客さま。印象的な出会いからはじまり、そしてドラマのような再会を果たしたお二人。お互いを「似ている」「フィーリングが合う」と評し、対談中の息もぴったりです!
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佐藤愛さん
お客さま歴:20年
20年前、人生初のモデルハントをしていたアシスタント時代の金丸さんに、
原宿で声をかけられたのが最初の出会い。
その後、スタイリストデビュー、ロンドンへの放浪の旅、そして店舗の異動と、
紆余曲折を経てairのディレクターにまで登りつめた金丸さんを温かく見守りながら通い続ける。
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見た目はギャル男で、自信もたっぷり!? それでも通い続けてきた理由
金丸:新卒で入社したサロンで、生まれて初めてモデルハントをしたのが愛ちゃんだったんだよね。そのときの僕はロン毛で金髪メッシュのガングロ。すんごいギャル男でした。まったくモデルさんが捕まらなくて、「なんなんだよ!」って諦めかけていたときに、捕まったのが愛ちゃん。罠にかかった人。
愛さん:はじめは、何回か断ったんだよね。でも「絶対にかわいくするから」って自信がみなぎっていたから「この人、すごい…」って思って。
金丸:そうだっけ。かわいかったからナンパも兼ねていたんだと思う。入社したばっかりの1年生で、まだなにもできないのにすごい自信だよね。
愛さん:すごい自信だった(笑)。勢いに押されて、OKしちゃった。
金丸:そのときに連絡先を交換して、それから、カットモデルとかいろいろ手伝ってくれて。デビューしてから、そのままお客さんになってくれたんだよね。
愛さん:見た目は代表的なギャル男だったけど、最初にカットしてもらったときに、それまでの自分のイメージにはなかった、かわいらしい感じにしてくれたから「この人、口だけじゃないんだな」って思いました(笑)。
金丸:今日は褒めるね、打ち合わせ通りだね(笑)。そのときは、ハイレイヤー全盛期で、単純に自分がやりたかったから、レイヤーなしの髪にたくさんレイヤーを入れさせてもらったんだよね。
愛さん:ソフトウルフみたいな感じでふわふわって感じでね。それまでも、長い間サロンモデルをやっていたし、いろいろな美容師さんにカットしてもらったけど、そのとき金丸さんが作ってくれた髪がいいなって思ったんです。
金丸:知り合ったのはそのころだけど、デビューしたのが23歳くらいのときだから、本格的にきてもらうようになったのは、それから2年後くらいだよね。
愛さん:金丸さんがデビューするまでは、撮影でほかのサロンにお世話になったりもしたけど、やっぱり最初に作ってもらった髪の毛の印象がすごくよくて、デビューしてからはずっと通っていました。
金丸:ありがたい(笑)。一度、美容師を辞めて1年弱ロンドンに住んでいたこともあるんですが、戻ってきてからはまた通ってくれています。美容師を辞めていたから、実は卒業式のヘアセットとか、愛ちゃんの人生の節目のタイミングのヘアは作っていないんだよね。当時は、ヨーロッパに渡って、デザイナーになろうと思っていた時期。ヨーロッパの有名デザイナーさんは、ゲイの方が多いんですが、僕もその洗練された感性がほしくて、本気でゲイになろうとしていました。
愛さん:卒業旅行でスペインに行った帰りに、ロンドンの空港でばったり会ったんだよね。
金丸:「日本に戻って美容師をやろう」って決めて帰ってきたあとに、もう一回旅行で行って、その帰りに空港で愛ちゃんに会ったんだよね。「なんか見たことある人がいる!」って。で、そのあと飛行機に乗ったら、席が前と後ろで驚いた。
愛さん:あのときは本当にびっくりした(笑)。「こんな偶然ってある?」って。
金丸:僕がロンドンに行ってからは、しばらく疎遠だったもんね。「戻ったらまた美容師をやるからきてほしい」って言って、それからまた髪を切らせてもらうようになりました。
愛さん:こんな奇跡みたいなこと、今までの人生で経験したことがないし、これは金丸さんに髪を切ってもらう運命なんだなって思いました。
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