人気サロンのトップに聞く、円満退社の心得! 独立する美容師にありがちな問題点とは?

 

 

独立するにあたり、「円満に退社したい」と願わない人はいないはず。それなのにも関わらず、退社時にトラブルになってしまった、という話をよく耳にします。

 

自分がどれだけ円満に退社したいと考えていても、そこにはオーナーや先輩、後輩などさまざまな人が関わるもの。話し合いがうまく進まず「どうでもなれ!」と、投げやりな気持ちになってしまうこともあるのかもしれません。

 

そこで今回は、「周りの人から応援されている状態で独立するべき」と話す3名の人気サロンオーナーにお話を伺い、円満に退社するためにやったこと、やらなかったことを伺いました。

 


 

円満という形で尊敬の気持ちを持って辞めたかった−LECO代表・内田聡一郎さん

 

 

今の時代、独立や転職は当たり前ですし、辞めていくスタッフを会社が縛る権利はありません。「辞める選択」をすることは自体に問題はないと思っています。その上で僕は、今まで育ててくださったことに対する敬意を持って辞めたかった。だから、円満に退社することが独立の必須条件でした。

 

円満に独立するためにやったのは、スタッフの教育や福利厚生、お店のレギュレーション作りなどに積極的に取り組むこと。自分がこれまでやってこなかったことに着手したんです。ほかに、教育や経営に対する考え方をミーティングで発言したり、前のめりに案を提案したりと、「こいつ何か変わったな」、「何か考えているな」と態度で示すようにしたんです。なので、はっきりと独立の意思を伝えたときは、オーナーもすでに気が付いていました。

 

また、当時僕のメインアシスタントについていたスタッフを連れて行きたいという相談には、かなり時間をかけました。もちろん、御法度であることはわかっていましたから。僕自身、前の店を盛り上げたという自負があるので、最後の僕のわがままを聞いてもらいたいという思いで話し合いを重ね、最終的にはオーナーの器の広さによって了承いただきました。

 

前のサロンのオーナーとは、今も仕事で会いますし、共通の友人やお世話になっている方も一緒。今ではいい意味でライバル関係でもありますし、自分のブランドを抱えて初めて同じ目線で喋れるようになったと感じました。円満に退社したことは、僕にとってプラスになっています。

 

かっこ悪いことはしない。独立するときにやらなかったのは当たり前のこと

 

独立する際に絶対にやらないと決めていたのは、前の店の悪口を言うこと。どんな理由があれ、前の店のエッセンスや技術を伝承して、今の自分があるのはみんな同じ。敬意を払い続ける必要があります。それに、悪口を言うことって単純にかっこ悪いと思うんです。

 

また、美容師が独立するときに一番やってはいけないと思うのは、お客さまに迷惑をかけること。お問い合わせしてくださったお客さまに対して、「どこへ行ったのか教えられません」、「もう辞めたので予約が取れません」などと、返答することがありますが、お客さまは美容師という「人」につくわけですから、社内事情なんて関係ありませんよね。美容師とお店のトラブルにお客さまを巻き込んで、路頭に迷わせてはいけないと思っています。

 

結局は「人」の問題。向き合う時間を作らないから決裂する

 

自身がオーナーになってみて思うのは、オーナーと独立するスタッフはお互いが相手を尊重して話をするべきだということ。歩み寄ってしっかり正当性を持って話したいという姿勢がお互いにあれば、自分本位にならずに気持ちよく話し合いができると思うんです。

 

そもそも「辞める」とか「独立する」という話って、きれいごとだけで済まない部分もあると思うんです。例えば、雇用形態が悪いとか、人間関係に不満があるとか。そういう部分を、オーナーと独立するスタッフの両方が歩み寄って話し合い、一旦クリアにしたほうがいいと僕は思います。

 

「独立するとき、円満に退社するためにどうしたらいいのか」は、人によって違いますし、ルールやフレームワークはありません。結局は、サロン側と独立するスタッフ側のお互いの気持ちの問題です。お互いが気持ちよく別れたいなら、それぞれが間違っていることは認め、双方が納得するまで話し合うべき。結果として、僕はそれをやってきたからこうやってお話しができています。納得するまで話し合うことは大変な作業ですが、それを避ければ、決裂してしまうんです。

 

LECOにも日々トラブルはありますが、都度話し合いをして、公平なジャッジをし、最後はお互いが納得できるようにしています。

 

独立するにしても、スタッフを育てるにしても、結局は人と人の問題。人間なので、正直にすべてを明らかにするのは難しいかもしれませんが、最終的には向き合い続けるしかないんですよね。

 

 

プロフィール
LECO
代表/内田聡一郎(うちだ そういちろう)

横浜市内のサロンを経て「VeLO」のオープニングに参加。2009年、姉妹店「vetica」のクリエイティブディレクターに就任。2018年3月1日にヘアサロン「LECO」をオープン。セミナーやヘアショー、専門誌などで見ない日はないほど勢力的に活動。そのセンスの良さから一般のお客さまのみならず、芸能・ファッション・音楽業界からの信頼が高い。

 

>不義理な別れじゃなければ、気持ちよく過ごせる。Gratii大更章文の独立の心得

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