最初は誰もが大きな志を持って美容業界に入られたと思います。理想と現実とのギャップに苦しみ、忙しい毎日を過ごして、自問自答している人もいるかもしれません。でも、志さえ失わなければきっと、いつか“なりたい自分”に近づくことができます。FILMS銀座のデザイナー、池田翔（イケダショウ）さんがそのことを証明しています。目標を失いかけている美容師さんにぜひ読んでほしいインタビューです。

就活失敗…でも「有名になる」という志は失わなかった

専門学校時代から、原宿や表参道にある有名店に憧れていました。自分もそこで有名になると心に決め、ブランド力のあるサロンに絞って就職活動をしたのですが、結果は惨敗…。見かねた学校の先生に紹介していただき、東急東横線沿いにある地域密着型サロンに入りました。

そのサロンでは、ヴィダルサスーンで学び、カットの講師をすることもあるオーナーから、技術を学ぶことができたのでありがたかったです。早いうちからアシスタントリーダーを任されて、全体を見渡しながらサロンを回す力も養うこともできました。日々の仕事に充実感はありましたが、その一方で美容師として有名になりたいという気持ちがあらためてふつふつと湧いてきたのです。

その当時、ヘアカタログや雑誌、ヘアショーでかわいいスタイルを出すトレンドサロンが登場して業界を騒がせていました。一番気になっていたサロンに思い切って応募してみると、ちょうど人手不足だったこともあり、アシスタントとして入ることができたんです。面接ではシャンプーには自信があるとか、当時の自分にできることをアピールするだけで精一杯だったんですけれどね。

アシスタントリーダーの経験もあったので、新しい環境でもなんとかなるかなと思っていました。ところが、「同じ美容師なのにこんなに違うの？」と思うことばかり。客数が段違いに多いのでスピード感も全くちがいます。地域密着型サロンとトレンドサロンでは客層も、求められるものも違うので、当然と言えば当然だったのですが。営業中に忙しいのはもちろん、朝の準備、締めの掃除なども全部担当していたので、キツすぎて死ぬかと思ったこともありました（笑）。

＞美容師として糧になっていることとは？