7年後は100兆円の市場規模に! シニア専門のヘアメイク赤坂渉さんが見つけた本当の価値
シニア専門のヘアメイクの第一人者として、数々のメディアに出演する赤坂渉(あかさかわたる)さん。2014年に開設された巣鴨にあるシニア専門フォトスタジオ「えがお写真館」の立ち上げをきっかけに、ライバルのいないシニア層をターゲットに据えました。
えがお写真館の展開する事業は、すべてシニア・シルバー層向け。着々と事業の幅を広げ、海外への展開も考えているよう。
※1シニア層・シルバー層:「シニア」は年齢が60歳前後の方を表し、「シルバー」は60代後半以上の方を表す。
シニア層の市場規模は、一説によると、2025年には100兆円に達するとも言われています。そんな、業界で注目されている世代へのアプローチ。赤坂さんはどのように広げてきたのでしょうか。
一浪して入学した美大をやめて、ヘアメイクの世界に
僕は幼いころから芸術に興味があり、芸術系の高校に通い、美大に入学しました。でも、一浪して入学した大学では、期待していたような楽しさが感じられず、何のために芸術をやっているのかわからなくなりました。与えられた課題をこなしているだけに感じたり、一生懸命に作品を製作しても「よさがわかんない」と周囲から言われて、将来が不安になったり。
そんなとき、たまたま地下鉄ですれ違ったきれいな女性を見て、心が踊りました。僕も女性をきれいにする仕事をしたいと思い、ヘアメイクを目指すことにしたんです。芸術のよし悪しに比べると、きれいか、きれいじゃないかってすごくわかりやすいですよね。それで美大を辞め、ヘアメイクの専門学校に入りました。
ただ、実は僕、バンドもずっとやっていたんです。音楽で成功する夢を諦められず、ヘアメイクの専門学校よりバンド活動に熱中していた時期もありました。けど、自分より演奏がうまい人の姿を見てきて「僕はあのレベルになれないない」と悟り、23歳で再びヘアメイクの道へ。ヘアメイク事務所にアシスタントとして入りました。
競合がいない唯一の場所を選択。シニア専門を目指した経緯とは?
シニア専門のヘアメイクを打ち出したのは、以前から知り合いだった代表の太田から「新しいことをはじめないか」と誘われたのがきっかけです。
事業を立ち上げる1年前に、太田とカメラマンの吉原、そして僕の3人で「何ができるだろう」という話をしたんです。しかし、雑誌やメディアの撮影の現場で活躍する先輩たちの姿を見ていたので、今から僕らが駆け足で走ってもその人たちには追いつけないだろうと感じていました。
そこで太田が「ライバルが誰もいない層を狙おう。シニアが一番面白いんじゃないか」と提案したんです。それを聞いて、タレントさんやモデルさんを喜ばせるヘアメイクの技術をシニアにそのまま活かしてみたら…と考えるとワクワクしました。今までシニア専門のヘアメイクはいなかったし、「老いた自分の姿が嫌い」というマイナスな気持ちを僕の技術で変えることができたら、とても喜んでもらえると思ったんです。それで、2014年にシニア専門のフォトスタジオ、えがお写真館をスタートさせました。