9割の大変さは、1割の楽しいでチャラ! Lily宮原幸恵さん流ハッピーに美容師をする方法
卓越した技術とセンス、そして元気な笑顔で、たくさんの人に日々“ハッピー”を届け続けている宮原幸恵さん。長年勤めた美容室を退社し、今年春から「Lily」(表参道)にて、フリーランスとして活動をスタート。「お客さまと向き合うことやこの仕事が大好きだから、大変なことも乗り越えられた」という宮原さんの仕事に向かう姿勢などについておうかがいしました。
人を笑顔にするよろこびを知った子どものころ
幼いころはミーハーでした。当時はさまざまな職業に「カリスマ」とつけてもてはやされていたのですが、テレビでカリスマ美容師が紹介されているのを見て、「将来はカリスマ美容師になりたい」なんて言っていましたね(笑)。
人の髪の毛をはじめて切らせてもらったのは、小学校5年生のとき。幼馴染みが長い髪を切らせてくれたのですが、当時はレイヤーがはやっていたので、ちゃんとすきバサミで髪をすいて、結構本格的にカットしたんです。
そのヘアスタイルが周囲から大好評で(笑)。その子は髪型を人からほめられて、とてもうれしそうにしていました。その笑顔が本当にかわいらしくて、今でもよく覚えています。ほめられてうれしいと、こんなにすてきな表情になるんだと思い、その笑顔を見ていたら私もすごくうれしくなりました。この体験は、私の美容師としての原点だと思っています。
魔法使いのような美容師さんに出会い、美容師観が変わった
自分自身が髪の毛を切ってもらって、「かわいくなってうれしい!」と感じたのはそれから大分あとで、高校1年生のときです。私の髪はクセ毛で量が多く、扱いにくい。それまでは美容室に行ってもかわいくなったと感じたことがなく、美容室のあとはすぐに家に帰り、自分でスタイリングをし直して改めて出かけるという感じでした。
それが、ある美容師さんと出会って、はじめて「かわいい! このまま出かけたい」と思えるようになったんです。別人のようになって「魔法使いみたい!」と感激し、そしていつしか「この人のような美容師になりたい」と思うようになりました。その美容師さんは今でもお付き合いがありますが、尊敬する大先輩です。
高校卒業後は東京の美容学校に入学。それまではあまり勉強は好きではなかったけれど、専門学校では人が変わったようにまじめに勉強し、優等生でした(笑)。大好きな美容について学ぶことが、とにかく純粋に楽しかったですね。
お客さまとの時間があれば、どんなにつらくても耐えられる
アシスタント時代は精神的にも体力的にもきつくて、「朝がこなければいいのに」と思うこともありました。高校生のときに出会った尊敬する美容師さんから「美容師は楽しい仕事だよ」と聞いていたので、しっかり技術を身につけてスタイリストになり、仕事の本当の楽しさを知るまでは、絶対にあきらめないと思って頑張りました。
今、そのころの日記を読み返してみると、「仕事は9割つらい。でもお客さまと話したり、ほめられたりする楽しい時間が1割あるから、9割のつらさがチャラになる」と書いてあります。
いま思えば脳内麻薬物質のようなものが出ていたのかもしれませんが(笑)、アシスタント時代から、お客さまと過ごす時間、お客さまによろこんでいただけることが楽しくて、仕事を続けるエネルギーになっていたんです。そうしてめげずにアシスタントを6〜7年続けていましたから、お客さまと関わることが、根っから好きなのだと思います。
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