全員がスパニスト! ヘッドスパを中心にしたTANGANILLA流ロイヤルカスタマーのつくり方
いまやどこのサロンでもメニュー化しているヘッドスパ。うまくサロンのブランディングや客単価アップにつながっていますか? 東京・二子玉川で上質な大人客の支持を集めるサロン「TANGANILLA」は、なんと14年前のオープン時からヘッドスパメニューの提案に力を入れていたそうです。代表の手束幸徳(てつかゆきのり)さんに、ヘッドスパメニューをお客さまに浸透させる秘訣と効果についてうかがいました。ヘッドスパやトリートメントメニューの比率アップの方法だけでなく、導入する際の懸念点の解決策も語っていただきました。
「全員ヘッドスパニスト」が成功の秘訣
—TANGANILLAさんはヘッドスパの比率がズバ抜けて高いとうかがったのですが、数字としてどのくらいなのでしょうか。
トリートメントメニューが全体の45%。そのうちの90%をヘッドスパが占めています。オープンして14年。ヘッドスパを中心としたサロンを目指してやってきて、ここ5年でやっとここまで高い比率にまで持ってくることができました。
—14年も前から! まだお客さまにもそんなに認知されていなかったのでは?
当時はトリートメントメニュー自体が、どこのサロンでもサブメニューでしかなくて、お客さまに提案してもなかなかやっていただけないような状況でした。そんな中でさらに認知度が低かったヘッドスパに注目したのは、トリートメントメニュー以上に一貫性があるところに魅力を感じたからです。ヘッドスパなら頭皮も髪の毛も同じラインでケアできますし、そのケアが将来の髪・頭皮の健康やヘアデザインの担保にまでちゃんとつながりますからね。
—ここまでの高比率の秘訣を教えてください。
一番の秘訣であり重要視しているのは、サロンの全員がヘッドスパのことをわかっているということです。アシスタントもスタイリストも店長も、さらにネイリストやセラピストも、ヘッドスパについてお客さまに語れる知識を持つようにしています。また美容師はアシスタントから店長まで全員がヘッドスパの施術ができるようにしています。
—ネイリストやセラピストの方もですか?
そうです。ネイリストやセラピストも、お客さまにおすすめすることはできますよね。そのため導入時には、サロンの全員で講習を受けにいきました。ネイルやマッサージの施術中の会話から、ヘッドスパの予約につながることは多いですよ、
また、アシスタント世代にヘッドスパを任せているサロンさんが多いと思うのですが、スタイリストがヘッドスパについての知識を持っていなかったり、いいイメージを抱いていなかったら、ヘッドスパ比率は上がりようがありません。メニューを導入しても、おすすめできないですからね。
—確かにそうですね。ではヘッドスパ専任のスタッフはいないのですか?
責任者は立てていますが、営業では空いている人やそのお客さまに適任の人が担当しています。上手な子だと指名も入りますし、僕が施術することもあります。
見落としがちなことですがアシスタント世代に全てを任せてしまうと、彼らに負担がかかってしまうんですよね。ヘッドスパがなくてもシャンプーや、ヘアカラー、パーマのアシストと、アシスタントも業務がたくさんあります。そうすると全体の技術がおろそかになってしまったり、スタイリストの仕事を見る余裕がなくなってしまいます。
全員で担当することが、結果的にヘッドスパのクオリティを高いレベルで維持することにつながると考えています。
—ヘッドスパメニューをお客さまに浸透させるまでにはどのような工夫をされたのですか?
オープン当初にヘッドスパ体験を全員のお客さまにプレゼントしました。経営的には厳しかったですが、体験していただかないことにはよさを知ってもらえませんから。また当店が導入しているヘッドスパシステムはスチームを使うので、施術の様子を見た他のお客さまが興味を持たれて予約につながることも多かったです。ただやっぱり継続してもらわないと意味がないですから、そちらのほうが苦労しましたね。