あのMINXで2年連続で新規指名No.1! 秘訣はSNSで「好き」を突き詰めた結果だった?! 凄腕美容師 松下ひとみさんに「いまどきの売れるコツ」を聞きました
若手スタイリストにとって、新規指名客をとるのは大きな課題! そのためにヘアスタイル写真を撮影したり、自己プロデュース能力を磨いたり、人間力を高めたり……。さまざまな工夫を凝らし、日々お客さま獲得に奮闘しています。
そこで、スタッフ数300人超を有し、多くの人気スタイリストが在籍するMINXで、2015年、2016年の2年連続で新規指名客NO.1の座を手にした松下ひとみさんに、新規客獲得の秘訣を教えてもらいましょう。
大多数の新規指名客は美容系ウェブサイトからの予約
-新規のお客さまはどのような方が多いのですか?
20代後半から30代の女性がボリュームゾーンです。私がスタイリストになりたての20代後半の頃は、10代後半から20代前半の方が多く、30歳になってからは同年代のお客さまがグンと増えましたね。また最近は40代の方も少しずつ増えてきている気がします。
特徴としては、青山というサロンの立地が影響しているかもしれませんが、働いている方が多いです。看護師、幼稚園の先生、アパレル系など職種はバラバラですが、共通していえることはみなさん美容感度がとても高いです。
-お客さまは、どのような手段で松下さんを知るのですか?
ほとんどの方が美容系のウェブサイトからの予約です。以前の名前を知ってもらう定番の方法は雑誌のヘア特集でしたが、今はほとんどの方がインターネットで検索しますよね。そのときに美容系のウェブサイトが一番にヒットするので、そちらで私のスタイル写真が目に留まり、予約へという流れのようです。
-では、ウェブサイトに載せるスタイル撮影に力を入れているのでしょうか?
回数は多くはないと思います。月に1回のお店全体の撮影会とそれと個人で月に1回程度。むしろ、少ない方ですよね。私はこだわりが強く1スタイルを撮るのに時間をかけるので、掲載数も多い方ではないと思います。
-たとえばどんなこだわりが?
写真の雰囲気ですが、パキっとした強い光ではなく、ふんわりとしたやわらかい感じが好きです。撮りたいイメージや好き嫌いはしっかりあるのですが、自分では撮れなくて……。機械音痴なんですよ(笑)。だから後輩のスタッフに撮ってもらっています。イメージしている雰囲気になるまで何度も何度もトライしてもらい、近づけていきます。妥協は絶対にしたくない! だから量より質で勝負しています。
-へアでこだわっていることは?
つくったヘアをまずは客観的にジャッジしています。いち女性として私もやってみたい! と思えたらOKだし、これってスタイリングに時間かかるだろうな、とかネガティブ感情を抱いたらNG。お客さま目線に立つことを心がけています。
あとここ数年特に注意していることが、巻き髪スタイル。カールの程度もパーマで出るくらい。もしパーマでも出ないほどのカール感になってしまったらコメント欄に「アイロンで巻いてます」という注意書きを加えることはマストです。そうじゃないと「これってパーマでは出せませんよね」とお客さまに指摘され、信用を失いますからね。
-あと、スタイル写真に○○さん風と芸能人やモデルさんの名前をつけたタイトルづけをしていますよね。そのねらいとは?
良いスタイル写真が撮れたとしても、見てもらえないと自己満足に終わってしまい、意味がありません。だから、検索にヒットしやすいように、ネーミングも重視しています。たとえば「レイヤー多めのミディアムスタイル」より「紗栄子風 鎖骨ミディアム」の方がかなりヒット数は上がるのです。
また稀にSNSの拡散力をねらって今話題のモデルや女優さんに近いヘアをつくることもあります。けれどほとんどは撮ったあとに、「あの今人気のモデルのバングに似ているかも」と似ているパーツを発見して、後づけでネーミングします。
-他にスタイル写真を撮る上で松下さんならではこだわりはありますか?
こだわりというか、ちょっと特殊かもしれませんが、私はスタイル撮影をするとき、最初にどんなヘアをつくるかを決めるのではなく、どんなフッションにするかを決めます。服を決めてからそれに合わせて、ヘアとメイクを考えるといった順番なのです。
なぜ服から決めるかというと、どんなにヘアがかわいくても、モデルがヨレヨレのTシャツを着ていたら、その写真は見ている人の目にとまらないと思うのです。私がお客さまの立場だったら、ヘア単体を見てかわいいと思うより、服と髪とメイクのすべてを含めて、そのスタイルをかわいいな、おしゃれだなと感じるな、と。だから全体の雰囲気やイメージを一番司るファッションから決めています。