58歳で美容師に!! 元営業マン藤田巌さんの「大」転職人生

 

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「美容師40歳定年説」と言われていますが、その言葉は藤田巌(ふじたいわお)さんには通用しません。コンピューターメーカーの営業マンとして働いていた藤田さんは美容師になる夢を抱き、50歳を過ぎて資格取得を決意。美容専門学校に2度も入学を断られ、インターン先のお店で先輩に怒鳴られ、涙を流した日々も。そんな苦難の日々を乗り越え、58歳で美容師になった藤田さんは75歳となる現在、「出前美容室 若蛙」の代表として訪問美容サービスを展開されています。「100歳になってもお客さまを接客したい」と語る藤田さんが、美容師になるという夢を叶えるまでの奮闘の日々を伺いました。

 


 

美容専門学校に2度も入学を断られ、負けん気に火が付く

 

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-もともとコンピューターメーカーの営業マンだったそうですが、藤田さんはなぜ美容師になろうと思ったのですか?

 

「定年後は人のために働きたい」という気持ちがあり、異業種で何かできることはないだろうかと考えていたとき、ある新聞記事を読んだんです。そこには、施設でお医者さんが何度歩くように促しても歩こうとしなかったお年寄りが、ボランティアの方にヘアカットをしてもらったら、うれしくてその日から施設を歩き回るようになった、という内容が書かれていました。美容師というのは、髪型だけではなく人の気持ちまで変える素敵な職業なんだと思い、美容師になりたいという夢を持ちました。

 

-50歳で美容学校の通信教育課程の門を叩き、はじめは入学を断られたそうですね。

 

会社勤めをしながら勉強したいと言ったら、「レポートだけでなく、スクーリングもあります。また1年間のインターン修行もあるので、会社との両立は難しいと思います」と言われてしまいました。2度も断られたのですが、断られるごとに、負けん気に火がつき、絶対に入ってやるぞと(笑)。スクーリングは会社のリフレッシュ休暇と有給休暇を活用すれば参加が可能なこと、「インターンは定年(58歳)後になってもいいので、学科試験だけはクリアしたい」という話をして、なんとか入れていただきました。

 

そして2年間若い方と一緒に勉強をして、無事卒業することができました。スクーリングは楽しかったですよ。久しぶりの学校生活で、孫ほどの年齢の子たちに「パパ」なんて呼ばれて。先生も私よりもずっと若いのですが、しっかりと教えていただきました。

 

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会社員時代の藤田さん

 

-定年前の56歳で美容師資格を取られていますよね。インターンはどのようにクリアしたのでしょうか?

 

卒業後、学校の先生に相談をしたところ、「卒業生がやっているお店で、毎週土日、手弁当で2年間インターンとして働いたら、インターン修了を認める」と言ってくださったんです。その週から、月から金曜は会社、会社の飲み会や接待、ゴルフも理由をつけては断り、土日は美容室で働く日々が始まりました。会社の人たちには話をしていなかったので、「どうしたんだ?」と思っていたでしょうね(笑)。

 

-インターン時代の苦労は?

 

まずやらせてもらえたのはタオルの洗濯とシャンプーくらい。半年経つと、パーマのロッドを任せてくれるのですが、力加減がわからず、お客さまに苦い顔をされたり、怒鳴られたりして、裏でお店の人に「何をやっているんだ」と怒られて…。家で泣いたりしていましたね。会社は年功序列ですので怒られることはほとんどなかったのですが、美容師の世界は1日でも早く入った人が先輩。もちろん、勉強の場なので恨んでいませんし、大変貴重な経験をさせていただいたので、感謝しています。

 

>実技試験に2度も落ちてしまった

 

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