「日本とNYのカラーバリエーションは振り幅が違う」-穂高律子のニューヨーク美容師コラム Vol.8
今回で8回目を迎えた穂高律子さんのニューヨーク美容師コラム。日本で活躍されているとき、穂高さんの代名詞といえば「カラー」でした。とあるファッション雑誌では穂高さんがメインのカラー特集が組まれたほど。
その卓越されたカラー技術はニューヨークでどのように活かされているのか。穂高さんのカラー奮闘記、ぜひご覧あれ!
2回目のsany! 彼はロンドンに住んでいて、年2回ニューヨークにくるそう。伸ばしているので、ストレートだけやりました! 夏以来で、久々に会えてうれしかったです。
今回は、日本とニューヨークのカラーの感覚の違いについてお話したいと思います。
ニューヨークにきてから、日々色々なカラーを提案してきたのですが、ニューヨークは人種の多さに比例して、求められるカラーの種類もさまざまです。
日本だと『流行り』というものがあるので、だいたい使う薬やトーンが似ていました。季節にあわせてカラーを変えたり、これが流行っている!などと、ヘアカタログにたくさんの情報が掲載されて、求められるものがわかりやすかったし、こちらも提案しやすかった。そして、それをキレイにキープするメンテナンスもきちんとする日本。日本に帰ったときに、みんなのカラーの色がなんてキレイなんだろうと、感心しました。
しかし、こちらだと、流行りも違えばコンディションも違い、派手さのOK範囲も違うので、日本的感覚は入れ替え、新しい感覚を成長させるべく日々奮闘してきました。
好みを理解するのも然り、薬のチョイスも難しかったりしました。
日本人とはヘアコンディションもそれぞれ全然違うので、ある程度予想してレシピを作るのですが、うんともすんとも言わなかったり、予想と違った反応をしたり…。あの日本のカラー剤ならもっといいかんじにできたのになぁと思うことも多々ありました。
それでも、何人もやっていって、徐々にこうゆう髪質ならこうとか自分のレシピができていき、掴んできたような気がします。
そして、ニューヨークのカラー事情は、みなさんが思い描くような派手なカラーだけ! というわけでもないんです。
もちろんハイライト、バリアージュ、オンブレ、グレーやブルー、ピンクやホワイトなどのブリーチカラーは流行っているのですが、値段も高いので、 そういうスペシャルなかんじのカラーがいい! と言われたり、黒髮の方から「初めてカラーするのでシングルプロセスカラーで!」 といった控えめなオーダーもあったり。
カラーのバリエーションで言ったら、東京と似てる部分はあるけど、振り幅的なものは全然違うかなと思います。
なにはともあれ、とにかくいろいろな人のさまざまなオーダーに対応しなくてはいけません。
私は日本のとき、比較的お客さまの層が広かったほうだと思うのですが、それぞれの年代や職業や好みにあわせた今イチオシのカラーをそれぞれに提案させていただいていました。カラーをイメージする際、その人のバックグラウンドとファッション感を大切にしてきたので、そこから、このカラーにしたら、この方のファッションスタイルをより引き立てて、カッコイイはず! と思い、提案し、ハートをつかんできました。
しかし、ニューヨークでは、白人、アジア人、ヨーロッパ、南米などたくさんの方々がいて、肌の色も違うし、メラニンの量も違う、なんといってもファッションの好みもそれぞれ違う。
私にはあまり理解できないけど、その国で流行ってるオシャレやファッション感があったりして、みんながみんな雑誌で見るようなニューヨーカーなファッションでもなかったりします。なので、見た目からそんな派手なカラーをしそうに見あえない人が派手なカラーを求めたりすることも多々あります。
一見スッピンで硬そうなオフィスで働くような人でも、真っピンクにしたり、ブルーにしたり。今までのようにファッションからイメージしてカラーを提案するというのが少ししずらくなりました。日本だと、そんなことってありえないということが、ありえるニューヨーク。
ファッションというより、パーソナリティといったかんじでしょうか。
色があるカラーはこんな感じです。
確かにニューヨークという場所は何をしても誰かに何か言われることもないし、年齢や立場もあまり関係ないので、私もブルーとかパープルにしちゃおうかなーと思ったりします(笑)。 感覚が派手めになります。
日本でいう、ベージュ、ミルクティーみたいにすると、ただの茶色じゃない? と言う人もいたり。十分白いのに、黄色いから白くしてほしいとオーダーされたり。
私たちの感覚より、少し派手め、わかりやすいかんじにしないと納得しなかったりします。そこはやはりアメリカにきているだけあって、見え方と感じ方が違うのも、ニューヨークの人たち。
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