焦るな。20代は無我夢中でいい。 50代からが本当のスタートだ。 PEEK-A-BOO代表の川島文夫スペシャルインタビュー
日本を代表する美容師、PEEK-A-BOO代表の川島文夫(かわしまふみお)さん。
10代で海外に渡り
20代で日本にヴィダルサスーンを持ち込んだ業界の重鎮は
美容人生でもっとも重要な「20代のすごし方」をどう考えているのか
ぞんぶんに語っていただきました。
美容業界のすべての人に届けたい名言・至言の連続です。
30歳の美容師はまだ子ども
―どんな職業に就くにしても20代の10年間は重要だと思います。美容師は最初の10年をどうとらえるべきですか?
つい先週まで、イギリスに行っていたんです。とあるレストランで、若い子が働いているなぁと思ったら、まだ15歳だった。この子は18歳になったらある程度モノになるだろうなって思いました。向こうはいまだに美容師も15歳からなれるんです。若いからスポンジのように吸収するし、柔軟じゃないですか。一方、日本の場合、20歳で美容師になる。20歳は、ある程度大人ですから邪念も多い。将来のことばっかり考えると思うんですよ。28歳になったら独立しようとか。
でも、どんな道も十年一日。30歳はまだ子どもなんです。
―30歳でようやくスタートラインですか。でも男性の場合、歳を取るとお客さまが減っていくでしょう?
それはその人の人間的な魅力がないからじゃないかな。美容師というのは技術+パーソナリティ。そのバランスが悪いんだと思いますよ。
―今、2、3年でスタイリストデビューするサロンも多いです。そして、30代で独立していく。
デビューを早めたらどこかで無理が出てくるんじゃないですか。僕はね、20代って無我夢中じゃないといけないと思うんですよ。だって、学校を卒業して、右も左もわからない業界に飛び込んだわけですから。技術もそんなに簡単に覚えていけないと思う。お客さまの髪質は全てが違うわけだし。その違いはカラダで感じるしかないんです。とにかく雑念を消して、無我夢中であってほしいですね。
人間のスタートはみんな平等。学歴や育ちが違っても、神様は平等に時間を与えています。その時間をどう自分のモノにするのかが「Key of success」。人間は基本8時間寝なきゃいけないから、あとの8時間は働いて、残りの8時間で何をするか。どうしたらカットが上手くなるかとか、考えたらいいんじゃないですか。その合間に飲みに行けばいいんですよ。
ひとつのことを極めようと思ったら、5年、10年じゃ短い。20代で美容師は完成しないんです。簡単に一人前になれたら、すぐ辞めちゃうんじゃないですか。「難しいから、それをやさしく。やさしいからそれを楽しく。楽しいからより深く」っていう段階を知らないと、本当の面白さはわからないと思います。