美容サービスだけをする時代は終わった!? 美容室と撮影スタジオが合体した「美容室KATSUMATA」に聞く新しいお店展開
同じコンセプトで展開すべきか? 全く異なるコンセプトをすべきか? お店を展開する時に、多くのオーナーが悩むと思います。
そんななか、サロンと異なる業種を合体させて経営しているのが、静岡県の御殿場市にある「美容室KATSUMATA」です。1階に美容室あり、2階には写真館。2つの異なるサービスを展開するお店が併設しているんです。
サロンに撮影スタジオがあることでお店経営はどうなるの? 働き方に変化は起きるの? 今回は代表の勝亦裕(かつまたひろし)さんにその答えを伺いました。お店展開のヒントが隠されているかもしれません。
趣味が高じてカメラマンに。それから撮影依頼がくるように…
-お店には撮影スタジオが併設されているそうですが、なぜスタジオを作ろうと思ったのですか?
もともとカメラが好きで昔から写真を撮っていたんです。明治安田生命が主催する写真コンテストがあるんですが、ラッキーなことに僕の写真が入選し、しかもTVCMにその写真が使われたんです。全国で流れるCMだったので、それが評判になって、僕個人に撮影の依頼がくるようになりました。最初は店の近くにある撮影スタジオで撮っていたんですが、撮影のたびに、スタジオに行って、セッティングをして…。撮影が終わったら、撤収してお店に戻って…そんなことをしていたら時間がかかる。しかも撮影の依頼はどんどんくるし。お店は自社ビルだし、お店の2階は使用していない。じゃあ、そこにスタジオを作ろう、と。撮影機材込みで160万円をかけて、スタジオを作りました。
2階に併設された撮影スタジオ
-サロンでヘアメイクをしてもらい、それから撮影を希望されるお客さまが多いんですか?
そういうお客さまは少ないですね。うちはヘアカットをして、次に撮影をしましょうというセットサービスは基本的にしていません。「美容」と「撮影」は別のサービスとして展開しているんです。僕自身も美容師兼カメラマンとしてではなく、「美容」では美容師として、「撮影」ではプロのカメラマンとして料金を受け取っています。お客さまも「美容」と「撮影」はそれぞれの目的で、うちに来店してくれています。
-撮影を希望される方はどんなお客さまが多いですか?
やっぱり家族写真を希望される方が多いので、必然的にご家族が多いですね。入学式や七五三、成人式に結婚式などのイベント、妊娠、出産など人生の節目を撮っておきたいというリクエストがきますね。結婚式の場合は自分でヘアメイクの指示もできて、撮影もできるのが、僕の強みです。ロケ撮影を希望される場合は、自分で撮影許可もとりますよ。何でも屋ですね(笑)。
ウェディング撮影で髪をなおす勝亦さん
-どうやってカメラの勉強をされたのですか?
むかし東京の代官山でヘアメイクの研修を受けたことがあるんですが、そのとき写真の勉強や撮影をしたんです。そこからカメラに興味を持ち始めました。地元で定期的に開催されているレースクイーンの撮影会にヘアメイクとして参加したのも大きかったですね。撮影の様子を横でずっと見ているうちに、モデルの動かし方、ライトの使い方、セッティングを自然と学んでいきました。好きこそものの上手なれ、じゃないですけど、もともとカメラが好きということもあって、どんどん撮影技術を吸収していったんです。
-忙しいなか、どうやって学び時間を確保していったんですか?
趣味を諦めました。というよりかはカメラに集中していった結果、趣味をしなくなったんです。それまでゴルフやスキーなど趣味があったのですが、それを全部やめました。おかげで友達との付き合いがなくなったので、友達もいなくなりましが(笑)。昼は美容の仕事をして、夜は写真の仕事をする。終日働いているような感覚です。大変ではありますが、写真が好きだからできる。
-とはいえ、美容師とカメラマンの二つの職業をしていると、どちらか一方が疎かになる可能性もあるのではないでしょうか?
写真の勉強をしていては美容の勉強ができない、というジレンマを感じたことはありました。でも美容室って予約制なので、予約が入っていない空いた時間をうまくやりくりすれば、両立は可能です。
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