理想のサロン経営は、美しいヘアスタイルに似る -CANAAN-
MINX時代からヘアカラーのセミナー活動をおこない、『ヘアカラーマル秘レシピ』(髪書房)などの自著も持つ長崎英広(ながさき ひでひろ)さん。独立してCANAANを立上げてからは、美容の技術だけでなく、経営についての啓発活動もおこなっています。「ヘアデザインとサロン経営の要点は同じ」と語る長崎さん。果たしてその心とは?
ヒト・モノ・カネより大事な、独立に欠かせないこと
独立前、僕はMINXというサロンに17年いました。セミナーもたくさんやらせていただいていたし、重要な役職をいただいていて、何一つ不満はありませんでした。それでも40歳の節目に独立したのは、創業者魂を持って、株式会社をイチから立ち上げたいと思ったからです。
MINXには、返しきれないほどの恩があります。辞めるまでの2年間は「義を立てる」ために使ったと言っても大げさではないかもしれません。
世間では、独立するときに必要なのは、お金とか人とか言われていますよね。ほかにも必要なものがいろいろあると思うんですが、そのなかで一番大事なのは、恩人に感謝し、義理を果たすことだと思います。
恩を仇で返すような辞め方をしても、ヒト・モノ・カネがあればいい店が作れるかといったら、そんなことはない。きっと、いつか自分と同じようなスタッフが現れて、裏切られることでしょう。
それに僕は、世の中には、独立に向いているタイプと向いてないタイプがいて、後者のほうが圧倒的に多いと考えているんです。そもそも、美容師のゴールが独立である…という常識に疑問を持っていました。
言い方を変えれば、現状「美容師はいずれ独立せざるをえない」わけで、その理由は「店にずっとい続ける環境がない」からだと思います。だから僕は、社員がずっと働き続けられる会社を作りたいのです。社員が自分の家族を養い、豊かに暮らしていける会社を。
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