これは新しいサロン経営の形? 自転車屋さんと共同経営を実現したTAS BEAUTYに迫る
茨城県のつくば市。自然豊かなこの地で、自転車屋さんTAS CYCLEと一緒にお店を経営する美容室があります。お店の名前はTAS BEAUTY。TAS CYCLEとTAS BEAUTYを合わせてTAS PARK。でもなぜ美容室と自転車屋さんが一緒にお店を経営しているのでしょうか? 異色のコラボを実現させたTAS BEAUTYの代表・廣山晃(ひらやまあきら)さんにこの疑問を投げかけてみました。
昔から馴染まれている“おばちゃん美容室”の現代版
—なぜ自転車屋さんと一緒にお店を経営していこうと思われたのですか?
もともと自転車屋さんと一緒にやっていきたいという計画はなく、結果的に一緒にお店を運営していくことになったんです。
僕はいつも、お客さまはなぜ髪をカットするときだけしか来店されないんだろう? と疑問を持っていました。だからお客さまがお店にきてくれるきっかけを作りたい、美容室を公共性のある場所にしたい。そう思っていたんです。これからの美容業は、人との関係性が大切になる。そしてコミュニティーを持った場所を作り出す必要がある。偶然にもTAS CYCLEの福田君も僕と同じ考えを持っていて、じゃあ一緒にお店をやろう、と。
—廣山さんが理想としている美容室とはコミュニケーションが活発な場所ということですか?
はい、そうですね。僕の理想の美容室はひと昔前から存在する“おばちゃん美容室”。“おばちゃん美容室”のお客さまは、髪を切ると同時に美容師さんと会話をしにきているじゃないですか。そういうふうにコミュニケーションの場として美容室が機能していた。
僕はこのTAS BEAUTYを現代版“おばちゃん美容室”としてリノベーションしたかったんです。TAS PARKの中央には、お客さまなら誰もが使えるフリースペースがあります。ここで子供や大人がコミュニケーションを取っている。共有スペースがある美容室なんて作りとしては珍しいかもしれませんが、昔から馴染まれている美容室の機能を別の形として作り変えただけなんです。
—そのフリースペースを、どんなふうに利用されているんですか?
さまざまなイベントを開催しています。けん玉スクールやヨガ教室、夏にはバーベキューや夏祭り、流しそうめんに餅つき…そういえばセネガル人が講師を務める太鼓教室が開かれたこともありましたね。イベントは、自分たちで企画することもあれば、場所を利用したいという人に貸し出す場合もあります。僕たちは民間としてお店を運営していますが、なるべく公共的な場所としてお店を開放しています。もちろん誰にでも提供するというわけではないのですが、僕たちと関係性がある方には貸し出しをしています。
けん玉教室の様子
—お店には備え付けのキッチンやカフェスペースもありますが、なぜ設置しようと?
う〜ん、なぜと言われても…毎日、働いていたらお腹がすくじゃないですか? だからキッチンが必要だな、と。理由はシンプルです。キッチンのある美容室は、もしかしたらユニークと思われるかもしれませんが、僕にとって当たり前のこと。備え付けのキッチンではお店のスタッフだけでなく、お客さまもご飯を作れるようにしています。お客さまが、僕らのためにカレーやうどんなどのランチを作ってくれるときもあって、みんなで美味しくいただいています。
—それは楽しそうですね。
みんなでご飯を食べると距離が近くなるんです。すると関係はもっと深くなる。だから食事はコミュニケーションを取るための大切なツール。
キッチンではお客さまも料理を作れる
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